2019 Fiscal Year Annual Research Report
トラック情報と深層学習を用いたLHCにおける暗黒物質探索
Publicly Offered Research
Project Area | New expansion of particle physics of post-Higgs era by LHC revealing the vacuum and space-time structure |
Project/Area Number |
19H04613
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
竹内 道久 名古屋大学, 素粒子宇宙起源研究所, 准教授 (60749464)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 素粒子現象論 / LHCにおける新物理探索 / ジェット / 新粒子探索 / 機械学習 / LHC / トラック情報 |
Outline of Annual Research Achievements |
暗黒物質をコライダー実験において検証するためには、解析の精密化が必要不可欠である。カロリメータ情報、トラック情報を直接入力とし、それらの多数の相関を深層学習等を用いて直接解析する新手法が、伝統的方法と比較してどの程度のインパクトがあるかを明らかにしたい。
そのため、今年は、機械学習をジェット物理の具体的な問題に応用するため、トップジェットとQCDジェットを分類する問題を2つの方法で扱い比較を行なった。1つ目は、伝統的なジェット内部構造の解析法に則った、2点エネルギー相関関数を入力として機械学習手法を適応した方法、2つ目は、画像解析等の分野で著しい発展を遂げた手法の中でも最も基本的なCNN (Convolutional Neural Network)の手法を、ジェットのカロリメータ情報を画像とみなして適応した方法、の2種類である。結果、CNN手法の方が、元の入力情報が非常に多いため、期待通り分類性能が高いことを示した。CNNに比較して前者の性能が劣る理由として、前者は、入力として与える情報が少なく、最大限の分類能力達成に必要な情報が足りていないと考えられる。そこで、我々は、積分幾何学で知られた、ミンコフスキー汎関数を用いて、カロリメータヒットの分布に距離の概念を定義し、ヒット数の概念を拡張した変数を導入た。この情報を前者の入力に加えることにより、CNN手法に近い分類性能を達成できることを示した。今回の問題では、何が重要な特徴量なのかについて、一定の理解ができたと言え、結果を論文にまとめ発表した。
また、機械学習分野のLHCでの応用に関するいくつかの講演を行ない、更に、国際研究会「Machine Learning at LHC」を名古屋大学において主催した。世界的に活躍している研究者を欧米からを中心に10人程度招聘し、我々の研究成果についても発表・周知を行なった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年は、手始めとして機械学習の手法をジェット物理で議論されている具体的な問題をとりあげ、1本の論文を仕上げることができた。また、LHCにおける機械学習の利用に関する国際研究会を日本で開催することができ、我々の業績を国内外の活発に研究を行っている研究者に周知することができた。更に、国内のコミュニティに対しても、本研究分野の最先端の状況を浸透させることができた。他にも、微分方程式を機械学習を用いて解くという手法に関して、研究を始めていて、進展があった。
|
Strategy for Future Research Activity |
ジェットの分類問題に機械学習手法がどのように適応できるかを既に議論したが、これにトラック情報を加える影響についても探って行きたい。また、Bの物理を始めとしたフレーバー物理に、ジェットの電荷等をトラック情報を利用して決定する手法を用いても貢献できそうだと考えていて、その方向に研究を進めて行きたい。 微分方程式を機械学習を用いて解く方法を使い、真空の相転移に現れるバウンスを求める研究についても、結果をまとめたいと考えている。
|