2019 Fiscal Year Annual Research Report
宇宙暗黒物質から探る真空の構造
Publicly Offered Research
Project Area | New expansion of particle physics of post-Higgs era by LHC revealing the vacuum and space-time structure |
Project/Area Number |
19H04615
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
阿部 智広 名古屋大学, 高等研究院(素粒子), 特任助教 (70712727)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 暗黒物質 / ヒッグス / 素粒子現象論 |
Outline of Annual Research Achievements |
暗黒物質が加速器実験で直接生成するのが難しい場合に、ゲージ場の偏極への影響を調べることで間接的に暗黒物質の性質に迫ることが可能かどうか調べた。100 TeV コライダーでドレルヤン過程を精密に調べることで、暗黒物質の質量、スピン、相互作用の型などを絞り込めることを定量的に示すことができた。 XENON1T実験による強い制限を逃れることのできる暗黒物質模型(THDM+a 模型) の検証可能性を議論した。具体的には、ヒッグスポテンシ ャルの安定性、摂動論的ユニタリティーといった理論的制限を考慮してパラメータ空間をスキャンし、その上で JHEP 1902 (2019) 028 で開発した公式を用いて暗黒物質と核子との散乱断面積結果を評価することで、将来の暗黒物質の直接検出実験で模型が検証されるかどうかを徹底的に調べた。 結果として、XENONnT 実験および LZ 実験でこの模型は十分検証されうる ことを明らかにする ことができた。このことは近い将来にこれら実験で暗黒物質が検出された際にはこの模型をベンチマーク模型として提供できるという意義がある。 暗黒物質の質量の起源を説明する模型の提唱を、オクラホマ州立大のBabu氏と共に行なった。科研費を利用することでオクラホマ州立大に滞在することができ、円滑に共同研究を進めることができた。成果は論文誌に投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた、擬スカラー型相互作用を持つWIMP模型の解析、および精密測定による暗黒物質の性質解明の研究が順調に進んだため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画に沿って、今後はヒッグス粒子の精密測定と暗黒物質の関わりに着目して進める。また、暗黒物質の直接探索実験が今年度中に新しい結果を出すことが見込まれるため、現在の制限を逃れつつ新しい結果で暗黒物質が検証される可能性のある模型を優先的に調べる。
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