2019 Fiscal Year Annual Research Report
General physics-based model of slow earthquakes and geological constraints
Publicly Offered Research
Project Area | Science of slow earthquakes |
Project/Area Number |
19H04622
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
安藤 亮輔 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (10455256)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | スロー地震 / モデル / 断層構造 / 脆性・延性遷移 / 露頭 / ドローン / 地質調査 / シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,スロー地震の発生様式の深さ依存性を理解すべく,物理モデルを構築するとともに,露頭観察データを整理することでモデルに仮定する力学パラメタへの拘束を与えることを目的としている. ○物理モデルの構築 本年度はまず断層帯の脆性・延性不均質構造を単純化して考慮した1自由度系モデルを構築しその挙動を調べた.その結果,モデルに仮定する脆性割合と延性相の粘性率の二つのパラメタに温度依存性を仮定すれば,観測されているスロー地震発生様式の深さ依存性,すなわち滑り速度が遅く繰り返し間隔の長い長期的スロースリップイベント(L-SSE),滑り速度が比較的速く繰り返し間隔の短い短期的SSE(S-SSE),滑り速度がさらに早い微動という現象の,深さ方向の住み分けを自然に説明できることが分かった. 〇露頭観察からの拘束 物理モデルで同定された二つの重要なパラメタのうち,天然条件での理解が特に進んでいないのが,1)脆性割合の深さ(温度・圧力)依存性である.本年度は,脆性割合を歪集中帯露頭で定量化するために,研究協力者が記載した長崎変成岩帯の三重路頭におけるデータの提供を受け,延性マトリクス中に存在する脆性ブロックのサイズ分布を整理した.また8月7日から10日にかけて現地における巡検を実施し研究協力者と議論した.その結果,サイズ分布には2m程度のところにピークがあり,10m程度のところに上限値があることが分かった.また9月13日から15日の期間で槙峰露頭においてUAV(ドローン)を用いた写真測量を行い,数cmの構造まで解像できる3次元地形・テクスチャモデルの構築が可能であることが分かった.これにより,光学写真によって判別可能な断層帯内部の変形構造や物質不均質構造の定量化に対して,今後,本手法を活用できる可能性が高くなった.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでのところ,モデルの解析および露頭データの取得を,概ね予定通り進行させることができている.1次元モデルの重点的な解析と3次元モデルのコード開発が予定通り完了した.露頭データについても,研究協力者からの提供を受けることができデータ整理に着手することができた.
|
Strategy for Future Research Activity |
露頭データについては,昨年度に試験導入したUAV(ドローン)を用いた写真測量と3次元地形・テクスチャモデルを活用する見通しがついた.したがって,本年度の計画に三重露頭でのドローン測量と3次元モデルの構築を追加する.得られた3次元モデルを,共同研究者の地表踏査による露頭記載と比較しながら,露頭でのブロック構造の空間的な分布構造やブロックサイズ分布を定量的に解析する.定量解析には,クラスタリング等の機械学習ツールも活用する.
|