2019 Fiscal Year Annual Research Report
Relationship of intraslab earthquakes with slow earthquakes
Publicly Offered Research
Project Area | Science of slow earthquakes |
Project/Area Number |
19H04627
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Research Institution | Building Research Institute |
Principal Investigator |
北 佐枝子 国立研究開発法人建築研究所, 国際地震工学センター, 主任研究員 (10543449)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | スロースリップ / スラブ内地震 / スラブマントル / スラブ地殻 / 地殻流体 / 石英脈 |
Outline of Annual Research Achievements |
陸プレートと海洋性プレートの境界では「ゆっくりすべり」 と呼ばれる非地震性のすべりが発生している.本研究では,「ゆっくりすべりが発生すれば、その下の海洋性プレート内(スラブ内)での応力場や地震活動も変化する」と考えてスロースリップ発生前後のスラブ内地震の地震観測データ解析を行い,石英脈のプレート境界での形成過程との関連も検討し,長期的および短期的スロースリップの両方に共通するスラブ内地震との関係を明らかにすることを研究目的とする. 本年度は,氏家恒太郎・筑波大学准教授等との研究打ち合わせにより下記の知見を得て,それを反映させた地震データ解析を行うことができた.氏家氏のグループによると,スロースリップの発生に関わると考えられる古いプレート境界にて形成されたと推定される石英脈の化学分析の結果では,過去にマントル物質を通過したと推定される地殻流体の混入が示唆されるとのことだった.この知見に基づき,石英脈や流体の起源についてスラブマントル由来である可能性を検討する必要性を認識し,スラブ内地震をスラブマントルとスラブ地殻の2つに区分して解析を開始することができ,スロースリップ発生前後における沈み込む海洋性プレート内部での地殻流体の動きに関するモデルをさらに高度化させるきっかけを得た.これらの研究活動の成果については,スロー地震学に関する研究集会での口頭発表および米国地球物理学会での招待講演を行った.また,ゆっくり地震が発生するプレート境界の知見を深めるため,プレート境界型地震の1つの例であるM9東北地震と東北地域の最新の研究成果に関しての松澤暢・東北大学教授からご教示いただき,巨大地震発生前のプレート境界周辺部での諸現象についての最新の知見を得た.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,特にスラブ内地震をスラブ地殻とスラブマントルに区分して議論することの重要性を,地震学者のみならず地質学者の共同研究者からも議論で得られたことが予定外の良い成果だったと言える.氏家恒太郎・筑波大学准教授等との地球化学的な解析結果との整合性の議論や,Heidi Houston南カリフォルニア大学教授と地震データ解析の精査や複数回の議論により着想を得て解析したところ,応力場の時間変化についてスラブマントルとスラブ地殻で異なることを見つけることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究活動により,スラブマントルとスラブ地殻とで応力場の挙動が異なる点についてどのように説明するか,特にプレート境界から離れるスラブ内マントル領域のおいて見られる比較的大きな応力変化の原因をどう考えるかが,今後将来的に解決されるべき課題として見つかった.また,地殻流体の移動とスラブ内地震の b 値との間の時間的な対応関係を見つけたが,その2つの間を繋ぐ物理の解明がまだできていない点に留意し,理論研究と申請者自身の自然地震解析との間にある隙間を埋める議論を重点的に行いたい.
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Research Products
(8 results)