2020 Fiscal Year Annual Research Report
必要時に可逆的立体構造形成する新規ペア型エーテル環化酵素の解析と再設計による応用
Publicly Offered Research
Project Area | Creation of Complex Functional Molecules by Rational Redesign of Biosynthetic Machineries |
Project/Area Number |
19H04634
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
尾瀬 農之 北海道大学, 先端生命科学研究院, 准教授 (80380525)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 蛋白質フォールディング |
Outline of Annual Research Achievements |
特定の立体構造を形成しないIntrinsically Disordered Protein (IDP)あるいはIDRと呼ばれる蛋白質領域が機能発現をする事実は,1990年代にはよく知られるようになり,種々の例が研究され,多くの総説にまとめられている。統計法にもよるが,真核生物・ウイルスでは44-56%もの翻訳領域がIDRであるとさえいわれる。IDRとして特に研究が進んでいるものは,高等生物シグナル伝達系・転写翻訳系に多く含まれ,他の蛋白質との相互作用時に過渡的構造形成をおこなう例である。加えて近年では,液-液相分離や蛋白質水和ゲル化にIDRが深く関わり,生体分子の安定化,機能の局在化を決定する因子として注目されるなど,当初の予測を超えたIDRの性状・機能多様性が発見されたが,既知情報は氷山の一角であると思われる。本研究ではポリエーテル骨格構築経路に隠された巧妙なトリックを,monensin生合成をモデルケースとして解明することができた。多様性を決定づけるエーテル環の導入は,環化酵素MonBIおよびMonBIIのペアが担う。これまで基質アナログ体を使用した構造研究により,MonBIは酵素としての機能をもたず,MonBII活性化のための補助的な役割を果たすことがわかた。X線とNMRを組み合わせた研究から,大きな基質を収容するための長大ポケットを持ち,かつ反応過程に応じて形が異なる基質を認識するMonBIIは,単独で立体構造を形成できない蛋白質であることをつきとめた。酵素全長が構造非形成蛋白質(IDP)である例は無く,さらに相同性の高い2種の蛋白質が,一方はIDPとして活性担当,もう一方は構造形成・維持のための足場となる例はこれまでに無い。つまり,酵素MonBIIの活性構造形成を誘導する「ペア型」新奇シャペロン機構を提唱し,存在意義やこの機構の完全な証明ができた。
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Research Progress Status |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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