2019 Fiscal Year Annual Research Report
特異な化学構造をもつ海洋産リポペプチドの生合成機構解明に基づく人工誘導体生産
Publicly Offered Research
Project Area | Creation of Complex Functional Molecules by Rational Redesign of Biosynthetic Machineries |
Project/Area Number |
19H04662
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
末永 聖武 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (60273215)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | ミンナミドA / リポペプチド / 繰り返し構造 / 生合成遺伝子 / 化学合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
ミンナミドAを産生する海洋シアノバクテリアOkeania hirsutaの実験室における培養やゲノム抽出を検討するために必要なシアノバクテリアを採集するべく、本年度も沖縄県水納島へ出かけ採集を試みたが、目的のシアノバクテリアを見つけることができなかった。そこで、さらに範囲を広げて各所で試料採集を行なった結果、目的のOkeania hirsutaのサンプルを入手することができた。ミンナミドAを産生していることも確認できたため、そのゲノムDNAを抽出した。通常の方法では鞘の除去や大量に含まれる多糖類の除去が難しく、純度の良いゲノムDNAを得ることに苦労している。検討の結果、遠心分離操作や界面活性剤による処理を複数回行うことで、ゲノムDNAの純度を上げることができた。さらに精製条件を検討し、純度の良いゲノムDNAが得られ次第、次世代シークエンサーによる配列解析を実施する。 また、上記の新たに採集できたOkeania hirsutaの抽出物を分離・精製したところ、ミンナミドAの新たな類縁物質を複数単離することができた。現在、立体化学の決定を行なっている。 さらに、ミンナミドAの化学合成研究を進めている。共役ケトンの立体選択的1,2還元により生成するアリル位水酸基を利用して、3置換オレフィンのカチオン性錯体触媒を用いる立体選択的水素化により、ミンナミドAの脂肪酸部に含まれる特徴的な繰り返しを構築する手法を確立した。現在、この手法により脂肪酸部の合成を進めている。ペプチド部の異常アミノ酸の合成法を確立し、縮合を進めており、フラグメントカップリングにより収束的に合成する経路を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ミンナミドAを産生する海洋シアノバクテリアOkeania hirsutaの入手に時間がかかったため、研究がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
ゲノムDNAの精製方法は、ほぼ確立した。基本的にはその手法にしたがって、さらに改良を加えつつ精製を進め、純度の良いゲノムDNAが得られ次第、次世代シークエンサーによる配列解析を実施する。ミンナミドAを産生する海洋シアノバクテリアOkeania hirsutaを新たに採集することは当分の間、困難と予想されるため、採集場所に行くことが可能な地元の研究者へ協力いただくことも検討したい。4月7日からキャンパスが閉鎖されたため、キャンパス内での研究活動再開までは、文献調査などを進める。
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Research Products
(7 results)