2019 Fiscal Year Annual Research Report
Construction of biosynthetic platform based on metabolism logic of actinomycete and elucidation of the function of unknown biosynthetic gene
Publicly Offered Research
Project Area | Creation of Complex Functional Molecules by Rational Redesign of Biosynthetic Machineries |
Project/Area Number |
19H04666
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
高橋 俊二 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, ユニットリーダー (30311608)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 生合成プラットフォーム / 放線菌 / 一次代謝 / 二次代謝 / 天然化合物 / テルペノイド / 合成生物学 / 代謝エンジニアリング |
Outline of Annual Research Achievements |
植物・微生物は様々な有用テルペノイド化合物を生産し、医薬品、芳香剤、エネルギー資源など多岐に亘る需要がある。立体特異的構造を有するため化学合成による生産が非常に困難であり、大量生産には生物の生合成系の活用が必須である。近年、多くの微生物由来の二次代謝生合成遺伝子群の存在が判明しており、遺伝子資源を化合物資源へ変換する基盤の構築が必要である。放線菌は、構造多様性を持つ有用二次代謝物を高生産する能力を有しており、テルペノイド化合物生産にも応用が期待されているが、大腸菌や酵母のような実質的な高生産システムの開発には至っていない。そこで、本研究では、放線菌テルペノイド生合成プラットフォームを開発・高度化するとともに、合成生物学的手法を駆使して未知遺伝子機能を解明し、新規天然化合物を創出することを目的としている。 放線菌が有する二次代謝産物の生産能力は、一次代謝からの前駆体生産能力との関連が予想されるが、一次代謝機構を詳細に検討した研究は少ない。そこで、安定同位体標識されたグルコースを用いた解糖系とペントースリン酸経路の寄与率の解析、質量分析手法を用いた網羅的な細胞内タンパク質同定と経時的な発現相対定量解析、及び一次代謝経路のメタボローム解析情報を収集し、放線菌特有の代謝機構を解析した。これまでに、物質生産改善に必要な酵素遺伝子、プロモーター評価を行っている。本研究により、テルペノイド生産に特化した放線菌生合成プラットフォーム構築に繋がることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
安定同位体標識された[1-13C]グルコースを用いた解糖系とペントースリン酸経路の寄与率の解析(フラックス解析)、質量分析手法を用いた網羅的な細胞内タンパク質同定と経時的な発現相対定量解析(iTRACプロテオーム解析)、及び一次代謝経路(解糖系、ペントースリン酸経路)のメタボローム解析情報を収集し解析した。特に、TCA回路には代謝中間産物が常時蓄積していた。一次代謝経路で利用される炭素源の消失を抑え、二次代謝産物の生産を改善するためには、TCA回路から前駆体基質を回収し、二次代謝生合成に利用する生合成基質再合成システムの構築が重要と考えた。そこで、放線菌Streptomyces reveromyceticusを用いて、関連する酵素遺伝子の導入を行った。現在、得られた形質転換体を用いて二次代謝産物の生産性改善の評価を進めている。 また、二次代謝物生産が増大する培養後期において機能する一次代謝系の酵素遺伝子に着目し、一次代謝からの生合成前駆体供給を最適化し、二次代謝生合成遺伝子群と同調発現を実現する内在性プロモーター評価を進めている。生合成基質再合成実験が良好な成果を得ているため、本年度プロモーター評価実験の優先度を下げたが、今後も継続して二次代謝生合成へのリンクの検証を進め、生産システムの高度化を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度までに得られた、フラックス解析、細胞内タンパク質の経時的解析、中心代謝経路のメタボローム解析情報を基にして、一次代謝経路改変と二次代謝産物の生産向上を検討する。特に、生合成基質の再合成系を検討する。TCA回路から前駆体基質を回収し、二次代謝生合成に利用するために、関連する酵素遺伝子の強化を検討する。また、この成果をもとに、前駆体供給による生産効率化を検討する。NADPHなどの一次代謝経路における還元力供給が物質生産に及ぼす影響についても検討を行う。 二次代謝物の生産が増大する培養後期において機能する一次代謝系の酵素遺伝子のプロモーターを活用し、二次代謝生合成遺伝子群の効率的な生産を検討する。一次代謝からの生合成前駆体供給の最適化、二次代謝生合成遺伝子群と同調発現する最適なプロモーターの活用により、生産システムを高度化する。テルペノイド及びポリケチドの一次代謝前駆体は、アセチルCoAを経由することから、二次代謝生合成へのリンクの検証には、フラキノシンだけでなくリベロマイシン生産系も活用する。 さらに、これまでに構築した放線菌生合成プラットフォームを高度化するには、生合成産物を効率よく排出するシステムが必要である。昨年度に引き続き、機能が予測される候補遺伝子の評価を行う。
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