2019 Fiscal Year Annual Research Report
Environmentally induced chiral optical force on nano particles
Publicly Offered Research
Project Area | Nano-Material Manipulation and Structural Order Control with Optical Forces |
Project/Area Number |
19H04668
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
Sadgrove Mark 東京理科大学, 理学部第一部物理学科, 准教授 (40625000)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ナノファイバ / ナノ粒子 / キラル力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ナノ導波路(ナノ光ファイバ)を用い、新たなナノ粒子制御・検出方法を開発することを目的としている。特に、ナノ光ファイバモードのキラル性を使って、一般のファイバで不可能な検出・光圧を研究している。本研究の今までの実績は下記の通りでまとめる。 ナノ粒子検出の成果・実績:光でナノ粒子のマニピュレーションを行う際に、ナノ粒子が回折限界より小さいため、粒子のサイズ、種類、数などを光学的に検出することは困難である。しかし、キラルなナノ導波路モードとナノ粒子の結合の特性を利用すると、新たな検出方法が可能になる。我々は、ナノ光ファイバの近接場に設置された2種類のナノ粒子(ナノ球・ナノロッド)の散乱光をナノ光ファイバで集めて、偏光依存性を解析した。その結果、ナノ球とナノ粒子の応答が明らかに異なるということを証明した。応用の例を挙げると、この方法を使って、光ピンセットに閉じ込められたナノ粒子の種類などを調べることが可能ではないかと考えられる。この研究に関する論文は現在Optics Expressの雑誌に受理され、論文出版準備中の段階に入った。 ナノ粒子操作の成果・実績1)サブマイクロンリポソームの操作:バイオ系のナノ粒子には、リポソームという粒子が重要である。細胞とガンの検査で利用されるエクソソームの模型粒子からである。しかし、リポソームは体積的にほとんど100%水なので、水中での光操作は困難である。特に、エバネッセント場中のリポソームでの光学操作の例は今までなかった。そのため、リポソームとリポソームのようなバイオナノ粒子(細胞など)は集積光回路中での操作は不可能であった。我々は世界初、ナノ光ファイバのエバネッセント場を利用して、リポソームの光学操作ができた。我々が開発した方法を利用すると、単一バイオナノ粒子の新たな解析方法が可能だと考えられる。本研究は現在論文雑誌に投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度中、ナノ光ファイバの近接場中のナノ粒子のキラル的な光学操作を実現するために、下記のように二つの重要なステップを取りました。 1)実験装置の立ち上げ:まずは、ナノファイバ作成装置を組んだ。透過率が高く、超細い(300nm直径)を実現して、水中に導入することを成功した。 更に、キラルな光学力を観測できるために、新たな実験系が必要であった。 我々は東京理科大学で必要な光学系を組んで、試しにナノファイバ上のナノ粒子制御の実験を行った。アライメント方法、水中ナノファイバの透過率の確認、偏光制御の実験などを行った。 2)詳しい数値計算を行い、ナノ光ファイバの近傍にある粒子が受けるキラル光学力を評価した。その結果、キラルな力がその他の光学力(勾配力など)より十分大きくて、観測が可能だと確認できました。また、同じ数値計算方法でキラルな力の観測のための最適なパラメータをしらべた。その結果、現在設置してある実験装置を用いて、キラルな力の測定が可能ということが確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
下記のように、2020年度の推進方策をとる予定である。 1)今までの計算結果の発表・投稿:ナノ粒子の環境から生じるキラルな力は今まで観測されていなかった。我々は詳しい数値計算を行い、キラルな力の観察が現実的だと確認した。この情報は我々だけではなく、世界中の光学力を利用する研究グループに回すべきである。そのために、現在論文を作成中である。 2)キラルな光学力を観測するために、2種類の光トラップが必要である。まずは粒子をファイバの表面上にトラップする必要がある。今まで、我々はファイバ表面上の粒子トラップの実現ができたが、ファイバ軸の方向には粒子はまだ閉じ込めていない。ファイバ軸のトラップを実現するために、ファイバ共振器または対向ビームの実験を利用しないといけない。2020年度の前半、以上の二つの方法を試して、どちらが有効だと確認する予定である。もう一つの種類の光学トラップが光ピンセットである。ナノ光ファイバと垂直な方向から対物レンズで絞れた光を照射するとレーザーの焦点に粒子をトラップすることができる。 以上の二つの方法を使うと、ナノ光ファイバ表面上に滞在するナノ粒子が受けるキラル力の観測が可能だと数値計算上判断できた。 3)光トラップの実現ができたら、キラル力の実験を始める。横からのビーム(ファイバ軸と垂直のビーム)の偏光状態を操作しながら、ナノ粒子の位置をCMOSカメラでイメージを測定し、イメージ解析により、偏光状態に依存する微細な動きを検出する。キラル力により数マイクロン程度の位置シフトが予測されている。 上記の研究計画で実験を進めて、2020年度以内環境により生じるキラルな光学力を観測する予定である。
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Research Products
(5 results)