2019 Fiscal Year Annual Research Report
光圧計測知的ナノメカニカルシステムの創出
Publicly Offered Research
Project Area | Nano-Material Manipulation and Structural Order Control with Optical Forces |
Project/Area Number |
19H04671
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
米谷 玲皇 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 准教授 (90466780)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 光計測 / 光圧 / フォトニックナノ構造 / ナノメカニカル素子 / NEMS |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ナノメカニカル素子を利用して光圧のセンシングに関する知見・技術を獲得することである。これまで培ってきたナノメカニカル振動子の高性能化に関する知見、振動を介して様々な物理量を検出可能な“ナノメカニカル振動子”と光制御性に優れた“フォトニックナノ構造”を融合した光ナノメカニカル素子に関するノウハウに、解析的,情報科学的アプローチを導入することにより、ナノメカニカル振動子の機能性,感度を高め、光圧に対する理解を深める研究ツール,光圧と物質の相互作用を研究するツールを創出することを狙っている。 この目標に対して、今年度は、環境要因のナノメカニカル振動子の性能低下を排除,或いは性能低下を補う振動検出法の実現を目指し、共振周波数変化や特定周波数での振幅変化などを読み取る従来の手法とは異なる、情報科学的アプローチの導入による新たな振動検出法の構築を試みた。具体的には、光圧計測に向けた原理確認を目的として、diamond-like carbon(DLC)からなるナノメカニカル振動子を利用した光強度計測を試行的に対象とし、深層学習を利用した光強度計測を試みた。なお、1.5μm帯のレーザー光の強度を計測対象とした。結果として、深層学習を利用した振動計測手法が、微弱光の計測に有効であることを確認した。本研究提案の深層学習を利用した計測手法がナノメカニカル振動子を利用したセンシングにおいて新たな検出法になりえる可能性を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記した通り、本研究では、ナノメカニカル素子を利用した光圧センシングに関する知見の獲得を目指している。本研究成果の深層学習を利用したセンシング手法は、ナノメカニカル振動子の振動が内包するセンシング情報を読取るために有効な手法となる可能性を有する。様々な環境下で利用されることが想定される光圧のセンシングにおいて環境要因の性能低下を補う手段になり得ると期待される。以上のことから、目的に対して着実に成果を得ており、本研究は、概ね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの成果により、ナノメカニカル振動子の振動検出手法として、深層学習を用いた手法が有効な検出手法となりえる可能性を示した。この知見をベースとして、今後、振動データの使用法の最適化,また大気中計測などでの利用可能性を検証し光圧計測への適用をすすめる。また、光圧計測において、ナノメカニカル振動子は、光照射に伴う熱の影響を受ける。より精度のよい計測を目指し、光照射に伴う熱効果(熱応力の影響)のキャンセル手法の検討を行っていく。
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