2019 Fiscal Year Annual Research Report
Fluctuation measurement and reaction control of nanomaterials under optical pressure
Publicly Offered Research
Project Area | Nano-Material Manipulation and Structural Order Control with Optical Forces |
Project/Area Number |
19H04674
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
西山 嘉男 金沢大学, 物質化学系, 助教 (40617487)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 光圧 / 過渡回折格子測定 / ナノ物質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、溶液中における分子の拡散や熱力学量を短時間で定量できる過渡回折格子(TG)測定を光圧下で行うことにより、これらのダイナミクスが光圧によりどのような影響を受けるのかを明らかにする。研究初年度である本年度では、過渡回折格子測定を光圧実験系と融合した測定系(光圧TG測定系)の構築に取り組んだ。この際、光圧環境にあるナノ物質をTG測定で選択的に検出するために、通常のレーザー集光による光圧ではなく、干渉縞により光圧を発生させる光学系を構築した。金ナノ粒子、銀ナノ粒子(直径50nm)を対象とした回折実験によって、この光圧を導入した際に期待された粒子の濃度変調が確認され、光圧が機能することを実証できた。 この光圧が金属ナノ粒子生成反応にもたらす効果を検証した。光還元による銀ナノ粒子生成反応にTG測定を適用した結果、反応開始1ミリ秒以降で観測された粒径(直径>1nm)の増加に関しては、光圧を導入することで促進されることが明らかとなった。また、光圧の干渉縞のパターンを変えることによりナノ粒子の成長を抑制できることも確認された。同様の実験を金ナノ粒子に対して行った結果、ナノ粒子反応の促進や抑制を同様に観測することができた。上記の結果によって、光圧によって金属ナノ粒子生成反応を制御できることが示されるとともに、光圧の効果がナノ粒子生成においてどのサイズから優位に現れるのかを明らかにすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、過渡回折格子(TG)測定を光圧実験系と融合した測定系(光圧TG測定系)の構築し、その有効性を実証することが研究計画の主たる部分であり、この点は、当初の想定通りに研究が進展したといえる。また、光圧により金属ナノ粒子生成反応が変化することも実証し、ナノ物質の反応制御にも適用することができた。以上より、研究目標に対する計画は順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度までで実証した金属ナノ粒子反応制御をさらに進める。具体的には、光圧の偏光を変えることで異方性ナノ粒子の形状制御に取り組み、直線偏光を用いた金属ナノロッドのアスペクト比の制御と、円偏光を用いたキラル金属ナノ粒子のキラリティ制御に取り組む。同時に、金属以外のナノ粒子生成へと展開し、凝集誘起発光を示す色素(テトラフェニルエチレン誘導体)の凝集体制御を光圧により実現する。
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Research Products
(13 results)