2019 Fiscal Year Annual Research Report
アニオン複合化と超高圧力印加による強相関電子物性の制御
Publicly Offered Research
Project Area | Synthesis of Mixed Anion Compounds toward Novel Functionalities |
Project/Area Number |
19H04685
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
青山 拓也 東北大学, 理学研究科, 助教 (80757261)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 高圧力 / 強相関電子系 / 超伝導 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画に基づき,本年度は下記の研究を実行した. (1)複合アニオン化合物BaFe2(S1-xSex)3単結晶試料を育成し,電気抵抗率測定・磁化測定・中性子回折実験・反射率測定によって組成相図を作成した.x = 0.2近傍に組成相境界が存在することを示し,組成相境界を境に磁気秩序・軌道秩序のパターンが変化することを明らかにした.光学伝導度測定から電荷ダイナミクスも同時に大きく変化することを明らかにした. (2)高圧下で電気抵抗率を測定するシステムの開発を行なった.ルビー蛍光法による圧力校正を行う測定系を構築し,ピストンシリンダー型圧力セルで試験測定を行なった.その結果,荷重に対してルビー蛍光波長から見積もった圧力が系統的に変化することがわかった.ダイヤモンドアンビルセルを用いた圧力下電気抵抗率測定系の構築も実施した.10万気圧までの圧力下で電気抵抗率の温度依存性の測定が可能になった. (3)BaFe2S3に対してピストンシリンダー型圧力セルを用いた高圧下電気抵抗率測定を実施した.常圧で生じるストライプ型の反強磁性秩序と強的な軌道秩序の相転移温度が2万気圧までの圧力印加によって単調に上昇していくことがわかった.これは軌道秩序と磁気秩序が物質中で相補的に存在していることを示唆している. (4)BaFe2Se2O単結晶試料に対して10 GPaまでの圧力下電気抵抗測定を行い,電荷ギャップが単調に小さくなることを明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画に基づき,BaFe2S3において硫黄サイトを系統的にセレンで置換した試料を徐冷法によって合成し,基礎物性を測定した.順調に研究計画に基づいて研究を遂行している.
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Strategy for Future Research Activity |
おおむね順調に研究が進んでいることから,基本的には研究計画に基づいて今後も研究を推進する. 本年度に作成した単結晶試料および高圧下電気抵抗率測定系を用いて圧力下電気抵抗測定を実施する.
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Research Products
(11 results)
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[Presentation] キタエフスピン液体候補物質α-RuCl3における超高速スピンダイナミクス2019
Author(s)
天野辰哉, 赤嶺勇人, 大橋拓純, 川上洋平, 伊藤弘毅, 長谷川慶直, 佐々木宏也, 青山拓也, 今井良宗, 大串研也, 岩井伸一郎
Organizer
日本物理学会
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[Presentation] ハニカム格子物質α-RuCl3の超高速光応答 II2019
Author(s)
天野辰哉, 赤嶺勇人, 大橋拓純, 川上洋平, 伊藤弘毅, 長谷川慶直, 佐々木宏也, 青山拓也, 今井良宗, 大串研也, 岩井伸一郎
Organizer
日本物理学会
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