2019 Fiscal Year Annual Research Report
Construction of Subnano to Mesoscale Mixed-Anion System Based on Polyoxometalates
Publicly Offered Research
Project Area | Synthesis of Mixed Anion Compounds toward Novel Functionalities |
Project/Area Number |
19H04686
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
内田 さやか 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (10361510)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | イオン結晶 / 複合材料・物性 / 分子性固体 |
Outline of Annual Research Achievements |
アルミニウムは酸素、ケイ素につぐクラーク数第3位の最もありふれた安価な金属である。さらに、比重が2.7と小さく軽いため航空材料を初めとして私たちの日常生活にも大いに役立っている。このようにアルミニウムは非常に身近な金属だが、この水酸化物は多様かつ興味深い性質を持つものが多く存在する。私たちはそれらのアルミニウム水酸化物の中から、ε-Keggin型ポリ酸と同様の構造を持つアルミニウム13核クラスター[ε-Al13O4(OH)24(H2O)12]7+ (Al13)に着目した。Al13の水酸基や配位水は物質の吸着点や触媒活性点として機能することが知られている。Al13は1000℃以上の高温で焼成することで大きな表面積を持つγ-Al2O3となり、触媒担体などとして応用されている。しかし、焼成の過程でAl13の水酸基や配位水は失われてしまいこれらの特性を直接活用することができていなかった。そこで、ポリカチオンのAl13が炭酸イオンと反応するとゲル状の固体が生じる現象に注目した。この反応は室温でAl13の溶液と炭酸イオンを含む水溶液を混合するだけで直ちに起こり、白色のゲルが生じ、これを乾燥することで白色の固体(水酸化アルミニウム重炭酸塩)が得られる。この固体中のAlイオンがAl13の形状を保ったまま存在しているのではないかと予想し、水酸基や配位水を吸着点とする応用が可能であると考えた。メチルオレンジは化学実験では呈色試薬として有名だが、繊維の染色でも使用されている。発色性がとても高い一方で、変異原性を持つ物質でもあり、メチルオレンジによる水質汚染は世界中で問題視されている。そこで、水酸化アルミニウム重炭酸塩によるメチルオレンジの吸着・除去を試みた。その結果、特にアンモニア水でpHを7-9付近に調整して得た水酸化アルミニウム重炭酸塩は、迅速かつ高効率でメチルオレンジを吸着除去できることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績欄の内容を学術誌に投稿し(同じ新学術領域研究に属する研究者との共著)掲載されたため。この成果を受けた次のテーマも開始している。
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Strategy for Future Research Activity |
covid-19の影響により実験は全く進んでいないが、上述のAl13核に加えて、Al30核や32核のユニットを用いた合成実験を開始している。
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