2020 Fiscal Year Annual Research Report
新規含フッ素複合アニオン化合物の開拓
Publicly Offered Research
Project Area | Synthesis of Mixed Anion Compounds toward Novel Functionalities |
Project/Area Number |
19H04695
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松本 一彦 京都大学, エネルギー科学研究科, 准教授 (30574016)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | フッ素化学 / 酸フッ化物 / 複合アニオン |
Outline of Annual Research Achievements |
物質中において複数のアニオンを共存させるアニオンの複合化は、新たな機能性を発現させる方法として期待されている。本研究では、新規な含フッ素複合アニオン化合物を合成し、その構造と機能性の相関を見極め、高機能性を有する含フッ素複合アニオン化合物を設計する上で必要な基盤を作ることを目的としている。 本年度は昨年度から引き続き、酸素とフッ素をともに導入する方法としてアルコキシド法を用いて、二元系及び三元系金属含フッ素複合アニオン化合物の合成に取り組んだ。酸素を直接アルコキシド基に導入することが難しいことがわかってきたため、水酸化物を経由した合成に取り組んだところ、ある程度の酸素とフッ素の導入が可能であることが明らかになった。フルオロポリマーを用いた金属酸化物へのフッ素の導入は、ニッケル反応容器を用いて反応条件を最適化することで、仕込みフッ素比と生成物の含フッ素量の関係を明らかにすることができた。また赤外分光法を用いて、これまでに捉えることが難しかった反応ガス成分を捉えることに成功し、新たな反応メカニズムを提案することができた。さらに、分子アニオンの複合化にも取り組み、酸素とフッ素を含みリンを中心原子とするジフルオロリン酸アニオンのナトリウム塩とカリウム塩を合成した。これらの塩は有機溶媒への溶解度が低いものの、少量の添加により各々ナトリウム二次電池とカリウム二次電池の充放電特性の改善に大きく貢献することを確認した。これは電極表面に生成する被膜にジフルオロリン酸アニオンが取り込まれることで、イオン伝導性が向上するからであると考えられる。フルオロ錯アニオンの黒鉛層間化合物についても、その反応性とアニオンの複合化の可能性を示した。 以上の結果から本研究において、含フッ素複合アニオン化合物の合成と機能性について、体系的な理解と方針が得られたと考えられる。
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Research Progress Status |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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