2020 Fiscal Year Annual Research Report
錯体分子集積による複合アニオン型極性物質群の合成と機能創発
Publicly Offered Research
Project Area | Synthesis of Mixed Anion Compounds toward Novel Functionalities |
Project/Area Number |
19H04701
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大谷 亮 九州大学, 理学研究院, 准教授 (30733729)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 金属錯体 / プロトン伝導 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、ナイトライドアニオン(N3-)、シアノアニオン(CN-)から成る五配位構造の極性錯体分子 [MnN(CN)4]2- を最小単位として、室温で分子集積することで得られる極性一次元物質K2MnN(CN)4.H2Oの単結晶および粉末を用いたプロトン伝導性の評価を行った。温度依存および湿度依存の交流インピーダンス測定から一次元鎖間に取り込まれた結晶水由来のプロトン伝導を示すことが明らかになった。湿度上昇に伴いプロトン伝導度の上昇が観測され、これは、粉末試料の水吸着測定の結果からも結晶水の増加によるものであることが分かった。特に、湿度80%において室温で10-2オーダーの伝導度を示し、スーパープロトン伝導体として機能することが分かった。プロトン伝導の活性化エネルギーを算出したところ、水分子の移動を伴うプロトン伝導メカニズムが支持されたが、構造との相関に関して更に検討が必要であると考えている。 更に、単結晶試料を用いて直流バイアス電圧をかけた状態で、交流インピーダンス測定を行うことで、極性構造に基づくプロトン伝導能の能動制御について検討した。バイアス電圧の方向により、プロトン伝導度が顕著に変化することが分かり、すなわち、プロトンの流れやすい方向と流れにくい方向があることが示唆された。これは、非常に珍しいプロトン整流性をもつ固体物質であることを示唆している。一方で、これまでのところ、極性構造のどちらの方向にバイアスを印加しているかは明らかとなっておらず、計算などを用いた検討が今後さらに必要である。
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Research Progress Status |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(12 results)