2019 Fiscal Year Annual Research Report
プロトン駆動力制御機構の解明と光合成機能増加型植物の作出に向けて
Publicly Offered Research
Project Area | New Photosynthesis : Reoptimization of the solar energy conversion system |
Project/Area Number |
19H04716
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
高橋 拓子 埼玉大学, 理工学研究科, 助教 (50748126)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | プロトン駆動力 / 強光応答 / 熱放散 |
Outline of Annual Research Achievements |
過剰な光エネルギーを熱として散逸する機構である熱散逸(NPQ)は、植物の生育時、特に強光条件や弱光であっても明け方など光合成暗反応の停止しているときに、過剰光エネルギーの安全バルブの役割を果たす。本研究では、NPQの誘導に必須なプロトン駆動力形成に関わる光合成タンパク質を改変することで、NPQ増加が見込まれる植物の作出を目指すため、以下2つの課題に取り組んでいる。 (1) NPQに必要なPSBS遺伝子のプロモーター解析 NPQに必要なチラコイド膜タンパク質PSBSのプロモーターを改変することで、高NPQを示す植物の作出を目指し、シロイヌナズナにおいてPSBS遺伝子のプロモーター解析を行っている。長さの異なるPSBS遺伝子のプロモーターを、PSBS遺伝子欠損植物に導入し、NPQ機能の回復を調べている。これまでに、2つのプロモーター異型の導入が遺伝子の過剰発現を引き起こすことが明らかになった。この結果については、Western Photosynthesis Conference 2020 (2020/1/2-1/5 Bodega Marine Bay Institute) でポスター発表した。 (2) チラコイド膜トランスポーター 改変によるNPQ増加 チラコイド膜に局在する塩化物トランスポーターCLCeの欠損植物は、野生型と異なる NPQを示すが、トランスポーターの輸送活性は示されていない。本研究では、CLCeのトランスポーター活性を示すとともに、動物や細菌でのホモログが持つCl-/H+ の共輸送活性を可能にするアミノ酸置換変異をCLCe欠損植物に導入し、高NPQ活性を持つ植物の作出を目指す。これまでに、無細胞翻訳系を利用したCLCeのリポソーム上への発現を行った。今後はリポソーム上でのCLCeがCl-輸送活性について解析を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該研究課題では、共同研究先での光合成活性測定や、無細胞翻訳系を用いた解析、トランスポーターの活性測定などを計画していた。しかし、コロナウィルス感染症の影響で、外部施設への出張ができず、進行の遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナウィルス感染症にかかる緊急事態宣言が解除されたので、安全性を担保しつつ出張できるよう調整を行う。また、自分の実験室で解析が行えるように解析方法の検討を行っている。
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