2019 Fiscal Year Annual Research Report
シナプスのスクラップ&ビルドを抑制する新規ARL8サプレッサー遺伝子群の同定
Publicly Offered Research
Project Area | Dynamic regulation of brain function by Scrap & Build system |
Project/Area Number |
19H04738
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
丹羽 伸介 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 准教授 (30714985)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ARL-8 / JIP1 / egl-5 / 軸索輸送 |
Outline of Annual Research Achievements |
ALR-8(哺乳類のARL8AおよびARL8Bのオルソログ)はシナプス形成を制御するsmall GTPaseである。ARL-8の欠損変異体においては「シナプスの巨大化」「シナプスが細胞体近傍に形成される」といった表現型が観察されるため、ARL-8はシナプスの「スクラップ」を制御するのではないかと考えられる。 このメカニズムを明らかにするためにARL-8のサプレッサーの原因遺伝子について解析を行った。新規変異体のマッピングおよび候補遺伝子の欠損変異体との2重変異体を作製するアプローチ(candidate screening)を実施した。その結果、シナプスのスクラップアンドビルドを制御する新規因子の候補としてJIP-1(哺乳類のJNK Interacting Protein1のオルソログ)および、EGL-5(哺乳類のHOX7のオルソログ)が得られた。両因子とも欠損変異体はarl-8変異体のサプレッサーになるだけでなく、単独変異体では「シナプスが小さくなる」「シナプスの位置が軸索末端側に寄る」といった表現型が見られている。 arl-8のサプレッサー変異体の原因遺伝子の有力候補として同定したrpn-6.1については変異が間違いなく入っているもののレスキューできないという結果が得られた。マッピングをやり直すと間違いなくrpn-6.1変異の近傍にarl-8のサプレッサーの原因があることは確認できた。この変異体についてはゲノムの再解析を行い、他に有力な変異が見つからないかを再解析するとともに、rpn-6.1変異をCRIPSR/cas9で修復することによるレスキューを試みる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
arl-8の新規サプレッサーとしてjip-1(哺乳類のJIP1のオルソログ)とegl-5(哺乳類の転写因子HOX7のオルソログ)を同定することに成功した。これらの因子が単独変異体でもシナプスの局在に影響を与える軸索輸送に関与する可能性の高い因子であることが分かった。rpn-6.1についてはこれが本当に原因かどうか疑問符が付く結果が得られたが、ゲノムの再解析などによって新たなサプレッサー因子の同定に繋げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
rpn-6.1遺伝子の解析については、マッピングの結果は間違いなくrpn-6.1を含む領域に原因があることを指し示しているにもかかわらず、rpn-6.1の発現によってレスキューできないなどの結果が出ている。まれに過剰発現によってレスキューできない場合もあるので、CRISPR/cas9による点変異の修復を行うと共に、変異体の原因が本当にrpn-6.1であるかどうかをゲノム配列の再解析を行う。 jip-1およびegl-5については計画通りにシナプスを構成する因子の軸索輸送にどのような異常が起こっているかを確認する。DD神経細胞を用いてシナプスの再構成ののタイミングに及ぼす影響を解析する。
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