2019 Fiscal Year Annual Research Report
軸索コンパートメントにおけるスクラップ&ビルド
Publicly Offered Research
Project Area | Dynamic regulation of brain function by Scrap & Build system |
Project/Area Number |
19H04747
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
久場 博司 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (10362469)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 軸索 / 神経活動 / 細胞骨格 |
Outline of Annual Research Achievements |
神経細胞の軸索起始部(axon initial segment, AIS)は神経活動の生成部位であり、この分布が適切に形成・維持されることが脳神経回路の正常な動作に必要不可欠である。近年,このAIS分布の決定過程には,発達期の神経活動に依存した分布再編が関わることが分かってきた.従って、本研究では,脳幹の聴覚神経回路を対象に,このAIS分布の再編過程を聴覚入力との関連で調べることで,AISでの活動依存的構造再編の分子機構を明らかにする. 本年度は、AISの構造再編の分子機構について主に切片培養標本を用いて検討した。胚齢10-11日のニワトリから脳切片を作成し、Millicell膜上で培養、高K液刺激(7日間)によりAISの短縮を誘導した。このとき、さらに種々のCaチャネル阻害剤を培養液に加えたところ、P型Caチャネルの阻害剤であるωagatoxinの投与により短縮が阻害された。P型Caチャネルはシナプス前終末に存在することから、AISの短縮にはシナプス入力が重要だと考えられた。現在は、シナプス入力下流の細胞内シグナル経路(PKC、PKA、CaMKII、CN、MAPKなど)の阻害剤の効果についても検討中である。また、本年度は、薬理遺伝学によりシナプス後細胞の神経活動とAIS短縮との関連を調べるためのコンストラクト(PSAM 5HT3)の作成、およびCRISPR Cas9を用いたゲノム編集技術によりAIS局在タンパク質のノックアウトを行うためのコンストラクト(ankyrinG、neurofascin186、EB1など)の作成も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記の通り、切片培養標本を用いたAIS分布再編の分子機構の解析結果が得られつつあり、かつin vivoでの活動操作やノックアウトを行う技術基盤を確立し、in vivoでAIS分布操作を行う準備を整えることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
切片培養標本におけるAIS短縮に対するシナプス入力下流の細胞内シグナル経路の阻害剤の効果の検討を継続する。二光子顕微鏡を用いた細胞内Caイメージングにより、Ca信号の時空間分布を解析する。上記の薬理遺伝学とノックアウトのためのコンストラクトをin ovo電気穿孔法により導入し、動作確認を行い、AISに対する効果を検討するとともに、RNAseqで同定された分子の関与についてもノックアウトを行うことで検証する。
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Research Products
(2 results)