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2019 Fiscal Year Annual Research Report

細胞と場の連携による着床前マウス胚の2段階細胞分化機構

Publicly Offered Research

Project AreaInterplay of developmental clock and extracellular environment in brain formation
Project/Area Number 19H04778
Research InstitutionOsaka University

Principal Investigator

佐々木 洋  大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (10211939)

Project Period (FY) 2019-04-01 – 2021-03-31
Keywords着床前胚 / Hippoシグナル / 細胞分化 / 力学的制御
Outline of Annual Research Achievements

マウス胚は着床前の発生において、2段階の細胞分化を行い3種類の細胞からなる嚢胞状の胚盤胞を作る。1回目の細胞分化では栄養外胚葉と内部細胞塊が分化し胞胚腔を持った初期胚盤胞になり、2回目の細胞分化では内部細胞塊がさらにエピブラストと原始内胚葉へと分化し後期胚盤胞になる。この2回の細胞分化はいずれもHippoシグナルによって制御されているが、両者の間でそのシグナル活性が変化する。本研究では、2回目の細胞分化においてHippoシグナル活性が変化し、YAPが細胞質から核へと移行する仕組みについて解析した。YAPの細胞内局在は細胞が受ける様々な情報により制御されるが、その一つに細胞や核の形態がある。発生過程の核の形態を定量的に解析したところ、核は初期胚盤胞の内部細胞塊では丸く、YAPの核移行がみられる中期胚盤胞では扁平化しており、この核形態の変化に注目した。核を扁平化する要因の一つとして1回目の細胞分化で作られた栄養外胚葉細胞による胞胚腔の膨張力の関与が考えられる。栄養外胚葉は頂端側に密着結合をもつ上皮細胞組織であり、細胞膜に存在するNa+/K+-ATPase等によるイオンの能動輸送により胚の内外に浸透圧差を作り、aquaporinを介して胚内部に水を取り込むことで胞胚腔を拡大させる。発生の進行に伴って胞胚腔は拡大し、核の扁平化は胞胚腔の拡大と相関していた。そこで、中期胚盤胞の胞胚腔にfluorinert(シリコンオイル)を顕微注入して胞胚腔をさらに拡大させたところ、核の扁平率が増加してYAPの核移行が増加し、さらに、多能性因子SOX2の発現上昇が見られた。この結果は、1回目の細胞分化で作られた栄養外胚葉が作り出す力という場の情報が2回目の細胞分化を調節している可能性を示唆するものである。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

本研究において、胞胚腔膨張の役割解析のためにNaポンプ阻害剤による膨張抑制の影響の解析を計画していたが、当初の想定に反し、Naポンプ阻害によりすべての細胞でYAPが強く核移行することが判明し、この現象の本質を見極めるために追加実験が必要となり研究期間を延長する必要が生じた。

Strategy for Future Research Activity

清浄な発生過程において胞胚腔の膨張がYAPの制御に果たす枠割を解明するために、Naポンプ阻害以外の方法(ギャップジャンクションの阻害、物理的な胞胚腔の縮小など)を試みる。また、膨張以外の要因の関与についても検討する。

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Published: 2021-12-27  

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