2019 Fiscal Year Annual Research Report
Novel axonal guidance mechanism based on dynamic alternative splicing of an actin scaffold
Publicly Offered Research
Project Area | Interplay of developmental clock and extracellular environment in brain formation |
Project/Area Number |
19H04786
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
生沼 泉 兵庫県立大学, 生命理学研究科, 教授 (40452297)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | actin / afadin / callosal axon / axon guidance / small GTPase |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究で、発達過程での神経軸索形態や軸索投射の制御を担う軸索ガイダンス分子の細胞内情報伝達機構を解析し、低分子量G蛋白質の1つR-Rasの活性が様々な外界因子の駆動で共通に制御され、R-Rasの軸索内での活性制御が軸索形態制御において普遍的役割を果たしていることを明らかにした。その後、ガイダンス因子以外にも、神経成長因子や細胞接着因子によっても神経細胞内のR-Ras活性調節が駆動されることが明らかにされ、R-Rasは神経細胞を取り囲む外界因子のシグナルハブと位置づけられる。外界シグナルがR-Rasにシグナル統合された後、キナーゼ系、細胞骨格制御系、物質輸送系などの中核を担う様々なエフェクター分子に分配され、軸索形態が多角的に調節されている。近年、我々はR-Rasが担う個々の細胞内機能の責任分子の同定に注力してきた。細胞骨格制御系の責任分子の1つとして、アクチン足場形成を担う蛋白質であるafadinを同定しており、afadinは大脳皮質培養ニューロンにおいて、そのC末端のF-actin結合ドメインを介したアクチン足場構築を介し、軸索分枝形成を担う(MBoC., 2012)。その後、afadin にはC末端の有無の大きな違いの長短の選択的スプライシングが存在し、それらの発現量が神経細胞発達過程で変化し、短いバリアント (S体) が長いバリアント (L体) に対してドミナントネガティブ体として働くことで、L体の細胞膜での集積によるアクチン足場形成を阻害し、負の調節を行うことを報告した(MBoC., 2015)。それを踏まえ、「選択的スプライシングが脳構築の場で時空間的に制御され、afadinの各アイソフォームの発現が制御されることで、的確な神経分化・神経回路形成が引き起こされている」という新奇システムの存在を想定し、その機構の解明並びに可視化と操作を目的とし研究を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
従来から広く提唱されている、長距離・短距離作動性のガイダンス因子による脳梁軸索の投射制御機構とは全く異なる、個々の軸索内でのアクチン足場蛋白質のバリアントの発現の時空間制御という、神経細胞内因性のセントラルドグマのレベルでの脳梁軸索ガイダンスの新奇システムを提唱するに至ったため。
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Strategy for Future Research Activity |
以下の研究を予定している ・afadinの選択的スプライシングを規定するRNA結合蛋白質の同定とその操作 ・afadinに結合し、軸索間接着を調節する細胞間接着因子の同定 ・s-afadinノックアウトマウスの作出と、表現型解析
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