2019 Fiscal Year Annual Research Report
Physiological mechanisms to maintain self and nonself on intracellular membranes, and its pathological failure
Publicly Offered Research
Project Area | Creation, function and structure of neo-self |
Project/Area Number |
19H04809
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山本 雅裕 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (00444521)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ネオノンセルフ / IRGB6 / PI5P / 寄生胞膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
IRGMはインターフェロン(IFN)刺激によって誘導されてくるGTPase(IFN誘導性GTPase)である。IFN誘導性GTPaseは、その機能は微生物が感染細胞内に作る「微生物含有小胞(microbe containing vacuole = MCV)」の膜 (MCV膜)に局在し破壊し、細胞内感染する微生物に対する生体防御に必須である。しかしIFN誘導性GTPaseはMCV膜の元である宿主細胞膜や、膜を有する宿主オルガネラであるゴルジ体、小胞体、ミトコンドリアや核なども認識せず、MCV膜のみを認識する。MCV膜は細菌(原核生物)、真菌や原虫(真核生物)などが作り出すが、MCV膜上にそれらの幅広い微生物種に保存された分子が存在するとは考えられず、元々宿主に由来する分子がノンセルフとしてIFN誘導性GTPaseに認識されている可能性が示唆され、このIFN誘導性GTPaseによる自己オルガネラ膜あるいはMCV膜上の既存の概念では説明できないセルフ・ノンセルフ分子(細胞内膜のネオセルフ・ネオノンセルフ)の同定と識別機構の解明が、応募者を含め世界的に競争になっている。 今年度、新規のIFN誘導性GTPaseであるIRGB6のトキソプラズマのMCVである寄生胞認識に関する重要な役割を突き止めた。IFN刺激した野生型細胞で観察される寄生胞膜の障害は、IRGB6欠損細胞では全く認められない。またIRGB6欠損細胞ではGBPの寄生胞膜への蓄積率が激減したことから、IRGB6はGBPよりもさらに上流で寄生胞膜を認識し破壊する分子であり、IRGB6欠損マウスは原虫感染に高感受性であった。以上のように、IRGB6はトキソプラズマ感染細胞で最初に寄生胞を破壊し原虫を殺傷し、個体レベルで生体防御応答を担う重要な宿主因子であることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
トキソプラズマに対する免疫応答の研究論文がFront Cell Infect Microbiaol誌、Life Science Allinace誌およびParasit Int誌に掲載された。また、別の寄生胞膜形成病原体であるマラリア原虫の宿主細胞内の分化機構を明らかにし、J Exp Med誌に報告した。さらに、現在、IRGB6結合タンパク質であるIRGXのトキソプラズマ原虫寄生胞膜のネオノンセルフ分子認識機構の解析をさらにすすめ、IRGB6依存的な抗トキソプラズマ免疫応答の全容をさらに解析しようとしている。
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Strategy for Future Research Activity |
PI5PがMCV膜上でIFN誘導性GTPaseによって認識されていることを別の方法で示すために、PIP4K2aを部位特異的に過剰発現できるマウスをCRISPRゲノム編集法で作製する。そこでGate-16欠損マウスとPIP4K2a過剰発現マウスを掛け合わせ、DSS腸炎試験を行う。またPI5Pに結合できないI356E/I361E変異体のIFN誘導性GTPaseのノックイン(KI)マウスを作製し、C. rodentium感染による腸炎を試験する。IFN誘導性GTPaseはC. rodentium感染防御に重要であることから、I356E/I361E型KIマウスではC. rodentium細菌数が腸管で増え、結果的にインフラマソームの活性化が強く起き、Gate-16欠損マウスと同様に炎症性腸疾患となることが予想される。もしI356E/I361E KIマウスで腸炎となった場合は、NLRP3, Caspase-11, Caspase-11欠損マウスと二重欠損マウスを作製し腸炎が軽減するかを試験する。IpgD過剰発現によりIFN誘導性GTPase依存的な細胞死を誘導するのであれば、部位特異的にIpgDを過剰発現するマウスを作製し、炎症性腸疾患を自然発症するかどうかを検討する。さらに、IpgD過剰発現マウスをIFN誘導性GTPase欠損マウスと掛け合わせ炎症性腸疾患が発症の有無を検討する。ネオセルフ制御候補タンパク質についてはCRISPRゲノム編集法で遺伝子欠損マウスを作製し、まず線維芽細胞でCitrobacter spp. 感染及びトキソプラズマ感染によるMCV膜へのIFN誘導性GTPaseの蓄積に影響があるかを検討する。次に成獣の遺伝子欠損マウスにした後DSS腸炎とC. rodentium感染腸炎モデルで炎症性腸疾患を発症するかを検討する。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] CXCR4 regulates Plasmodium development in mouse and human hepatocytes2019
Author(s)
Bando Hironori、Pradipta Ariel、Iwanaga Shiroh、Okamoto Toru、Okuzaki Daisuke、Tanaka Shun、Vega-Rodriguez Joel、Lee Youngae、Ma Ji Su、Sakaguchi Naoya、Soga Akira、Fukumoto Shinya、Sasai Miwa、Matsuura Yoshiharu、Yuda Masao、Jacobs-Lorena Marcelo、Yamamoto Masahiro
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Journal Title
Journal of Experimental Medicine
Volume: 216
Pages: 1733~1748
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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