2019 Fiscal Year Annual Research Report
ネオ・セルフ脂質抗原分子ライブラリ構築と免疫調節機能解析
Publicly Offered Research
Project Area | Creation, function and structure of neo-self |
Project/Area Number |
19H04815
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
藤本 ゆかり 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (00362616)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 脂質抗原 / CD1 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題研究においては、脂質抗原提示を担うCD1dに認識される“ネオ・セルフ”抗原分子として、内在性抗原あるいは寄生性微生物も含めた外因性抗原の合成と機能解明を行っている。特にイノシトール含有型の脂質抗原およびセラミド型糖脂質を中心に、広い生物種にまたがる構造の網羅的合成を進め、“ネオ・セルフ”脂質抗原分子ライブラリ構築を目指すとともに脂質抗原の隠された機能の解明を目指している。本年度は、イノシトール含有型の脂質抗原およびセラミド型糖脂質について、自然界に存在しているもののこれまで合成例のない複雑な脂質含有構造についても合成を可能とする手法を確立することに成功した。確立した合成法を用い、構造的な特徴を持つ幾つかの分子群の合成に成功し、構造活性相関解析が化合物ライブラリを得た。得られた分子群については、分子間相互作用解析を進めるとともに、サイトカイン誘導活性等の免疫調節作用の解析を行い、分子の構造および挙動と活性との相関の解析を進めた。本年度合成に成功した“ネオ・セルフ”脂質抗原分子の中に、特徴的・選択的なサイトカイン誘導活性を示す化合物、特に、Th1、Th2型あるいはTh17型サイトカインを選択的に誘導する分子を見出しており、それぞれの分子の生体系での機能を解明することにより、脂質抗原の重要な役割を明らかにすることが出来ると考えている。次年度も引き続いて、免疫機能制御の鍵となるネオ・セルフ抗原鍵構造の発見と自然界の脂質抗原により制御された免疫調節機構の解明を目指して研究を進める。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本課題研究の基盤となる合成手法の開発について非常に順調に進んでおり、これまで世界でも合成例の無かった天然型の分子群についても合成法確立に成功することにより、構造的・活性的に特徴を持つ化合物ライブラリの構築に成功している。また、機能解析のために必要な評価系についても、計算的手法を含めた分子レベルでの詳細な解析と構造活性相関解析を可能とする手法を確立して評価を進めており、非常に興味深い構造活性相関データを得ている。これらの成果の一部については既に複数の国際学術論文として投稿準備を進めている。また、さらに関連機能を解析するため、共同研究を含めた研究展開についても進めている。
|
Strategy for Future Research Activity |
合成の難しい脂質部位を含むネオセルフ脂質抗原分子についても合成法の確立に成功しており、次年度は、これまでに確立した手法を基盤とし、生体内あるいは環境中で重要な機能を果たしていると考えられる脂質分子群の合成を進める。これまで本研究で行ったネオセルフ抗原のサイトカイン誘導活性等の免疫調節に関わる活性の解析結果から、特定のサイトカインを誘導する構造的特徴を見出していることから、特に特徴的あるいは選択的なサイトカイン誘導能を持つ分子群に焦点を当てた解析を進める。
|