2019 Fiscal Year Annual Research Report
Molecular basis on persistent infection of the arenaviruses
Publicly Offered Research
Project Area | Neo-virology: the raison d'etre of viruses |
Project/Area Number |
19H04831
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
野田 岳志 京都大学, ウイルス・再生医科学研究所, 教授 (00422410)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | アレナウイルス / 持続感染 / LCMV |
Outline of Annual Research Achievements |
アレナウイルス(Mammarenaviruses)の自然宿主は齧歯類であり、培養細胞においてもマウス個体においても容易に持続感染を成立させることが古くから知られている。アレナウイルスが自然宿主の個体内で持続感染を成立させるには、個体レベルで免疫応答を抑制するだけでなく、感染細胞レベルでウイルスゲノム/タンパク質の発現量や子孫ウイルス粒子の産生量を抑制する必要がある。しかし、細胞レベルでのアレナウイルスの持続感染機構に関してはほとんど明らかにされていない。本研究では、これまでの知見を元に、感染細胞において自身のウイルスRNA/タンパク質を分解あるいは発現抑制するようなネガティブフィードバック機構を誘導すると仮説を立て、アレナウイルスの持続感染機構の解明を目指した。アレナウイルスのモデルとして、プロトタイプウイルスであるリンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)を実験に用いた。LCMVをハムスター由来BHK-21細胞あるいはヒト由来A549細胞に感染させ、ウイルスタイター、ウイルスゲノム/タンパク質発現量および感染細胞の変化を経時的に解析した。その結果、感染2-3日後に細胞変性効果を示すことなく、ウイルス産生量およびウイルスゲノム/タンパク質量が大きく減少することを確認した。この時、ウイルスタンパク質の細胞内局在を免疫蛍光抗体法で解析したところ、NPタンパク質やZタンパク質が核近傍に集積することが確認された。また、これらのウイルスタンパク質はLAMP1と共局在していた。さらに感染細胞の電子顕微鏡解析を行ったところ、感染2-3日後、核近傍に分解系オルガネラの集積が認められた。以上のことから、LCMV感染細胞において分解系オルガネラが誘導され、ウイルス産生が抑制される可能性が示唆された。この分解系オルガネラが細胞レベルの持続感染に寄与すると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
我々が立てた仮説通り、LCMVが種々の細胞に細胞障害性を示さずに持続感染すること、それらの細胞でのウイルス産生量・タンパク質発現量が感染2-3日後に減少すること、その時期に分解系オルガネラが出現することを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
感染細胞におけるウイルスゲノム/タンパク質の減少が発現抑制ではなく分解によるものかどうかを明らかにする。さらにLCMV感染後に特異的に認められる分解系オルガネラの同定を行う。
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Research Products
(4 results)