2019 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルスの生態システムに影響を及ぼす有利なゲノム変異の同定
Publicly Offered Research
Project Area | Neo-virology: the raison d'etre of viruses |
Project/Area Number |
19H04832
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
古瀬 祐気 京都大学, ウイルス・再生医科学研究所, 特定助教 (50740940)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ウイルス / ゲノム / 進化 |
Outline of Annual Research Achievements |
ウイルスの生態システムを理解するためには、それを形成するウイルス集団の多様性と進化を理解することが重要である。本研究では、フィットネスの高い個体が選択される「selective sweep」に着目し、これに関わる遺伝子変異を各コドンのレベルで検出する手法を開発することを目指す。そして、実際にさまざまなウイルスのゲノムデータに対して適応することで、「selective sweep」下にあるこれまでに知られていなかった「有利な変異」を同定し、さらにそれがなぜ「有利」であったのかを解析する。 令和元年度の実績として、最尤法による系統樹の作成・特定の変異をもつ単系統集団の同定・その特定の変異をもつ単系統集団と、それ以外の集団それぞれにおけるTajima’s D の算出・特定の変異をもつ単系統集団において Tajima’s D が有効個体数の増加を示しているか検証・特定の変異をもつ単系統集団における Tajima’s D が、その変異をもたない個体群の Tajima’s D と統計学的に有意に異なるか検定、というステップで「selective sweep」を検出するアルゴリズムを開発した。さらに、ウイルスゲノムの仮想データを作成し、その進化をコンピュータ上でシミュレートした。特定のコドン部位に特定のコドンを有する個体のフィットネスがほかより高いとするモデルをシミュレートし、このシミュレーションデータに対して開発した手法を適用すると、selective sweepに寄与した特定の変異を同定できることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
アルゴリズムの開発、およびそのアルゴリズムの実装に成功し、さらにその有用性をバーチャルデータを用いて確認することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
インフルエンザウイルスやエボラウイルスなどの、公衆衛生上重要なウイルスに関しては、そのゲノムデータが公開されている。これを用いて、開発したプログラムによって既知の重要な変異を同定できるか検証し、さらにこれまでに知られていなかった進化上重要であった変異の発見を目指す。
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Research Products
(4 results)