2019 Fiscal Year Annual Research Report
1細胞レベル・高時空間的解像度でのウイルス共生運命決定の分子機構の解析
Publicly Offered Research
Project Area | Neo-virology: the raison d'etre of viruses |
Project/Area Number |
19H04838
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小松 哲郎 九州大学, 生体防御医学研究所, 特任助教 (70614824)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | アデノウィルス / 1細胞RNA-seq / ライブセルイメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
ウイルスの生活環には、宿主の細胞死、疾患等を引き起こす溶解感染と、それら表現型がほとんど見られず安定的に宿主と共生する潜伏感染が存在する。しかし、この2つの「運命」を決定する分子基盤は明らかとされていない。本研究は、アデノウイルスをモデル系に1 細胞 RNA-seq とライブセルイメージングを組み合わせることで溶解-潜伏感染の運命が「いつ」「どこで」「どのように」決定するかを1 細胞レベル・高時空間的解像度で明らかにすることを目的としている。 当初計画していたアデノウイルス感染細胞の1細胞RNA-seq解析に加え、アデノウイルス感染初期(感染0~4時間)の各タイムポイントにおける細胞集団を用いたトランスクリプトーム解析(RNA-seq)、クロマチン構造解析(MNase-seq)を実施した。これまでに、先行してアデノウイルスゲノム上における遺伝子発現、クロマチン構造の時間経過に伴う変化について解析を進めており、ウイルスクロマチン構造のリモデリングが遺伝子発現に先行して起こることを見出した。また、MS2システムを利用したウイルスmRNAの可視化法の開発を進めた。感染最初期に発現するウイルス遺伝子E1Aの3’ UTRにMS2リピ ートを挿入したウイルスを作成し、蛍光標識したMS2結合タンパク質を発現する細胞に感染させることでE1A mRNAを可視化する。このシステムとこれまでに開発したウイルスゲノム可視化技術を組み合わせることで、ウイルスゲノムから転写されるウイルスmRNAをリアルタイムにイメージングできる可能性を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アデノウイルス感染初期におけるトランスクリプトーム解析、クロマチン構造解析においてクオリティの高いNGSデータを取得し、ウイルスゲノムにおけるクロマチン構造変換とそれによる遺伝子発現制御の詳細を明らかとした。従って、ウイルス感染に伴う宿主細胞の遺伝子発現発現やクロマチン構造変換についても、取得したデータを用いて同様の解析を行うことによりその詳細が明らかとなることが期待される。また、新規ライブイメージング法の開発も進捗しており、宿主-ウイルス間相互作用の時空間的解析の手法の基盤が確立されつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、これまでに取得したNGSデータを用いてアデノウイルス感染に対する宿主細胞側の遺伝子発現応答、それに伴うクロマチン構造変換の詳細について解析を進める。1細胞RNA-seq解析あるいは感染細胞集団を用いたトランスクリプトーム、クロマチン構造解析により初期ウイルス感染に応答する宿主因子(群)が同定し、新規開発中の技術を含むライブセルイメージング法を用いて宿主-ウイルス間相互作用の時空間的情報を取得する予定である。
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Research Products
(1 results)