2019 Fiscal Year Annual Research Report
原虫共生ウイルスの遺伝子発現制御による共生機構の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Neo-virology: the raison d'etre of viruses |
Project/Area Number |
19H04842
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
村越 ふみ 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20759906)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | リーシュマニア / 共生ウイルス / マウス |
Outline of Annual Research Achievements |
リーシュマニア原虫は、サシチョウバエによって媒介され、ヒトにおいて粘膜破壊や肝脾腫、皮膚の潰瘍を引き起こし、時に致死的となるため、世界的に問題となる。近年、リーシュマニアを含む原虫(単細胞の寄生性真核生物)の多くに、2本鎖RNA (dsRNA) ウイルスが共生していることが明らかとなった。さらに、dsRNAウイルスが存在すると、原虫の宿主に対する病原性が高まるということが粘膜皮膚リーシュマニア原虫において報告されたが、その詳細な機構や役割は不明である。そこで、本研究では、これまで重要視されていなかった原虫共生ウイルスが、原虫やその宿主(ヒト)に対していかなる役割を持つのかを明らかにすることを目的とする。 本年度は、RNA依存的RNAポリメラーゼ阻害薬(RdRpi)を用いることによって、リーシュマニア共生ウイルス(LRV2)のコピー数が異なるLeishmania major (L. major)を得た。これをマウスに感染させたところ、共生ウイルスのコピー数が多いL. majorを接種した区において、マウスへの病原性が上がっていた。そこで、次に、共生ウイルスを持つL. majorから、共生ウイルスを持たないL. majorのクローン株を得た。つまり、遺伝的背景が同一で、共生ウイルスの有無のみが異なるL. majorの作成に成功した。これをマウスに接種したところ、共生ウイルスを持つL. majorを接種した区は、共生ウイルスを持たないL. majorを接種した区と比較してマウスへの病原性が上がっていた。つまり、L. majorにおいて共生ウイルスが原虫の宿主への病原性に関わっていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
リーシュマニアのマウスへの感染実験において、条件検討や実験手法への慣れが必要であったために、感染実験系の確立に想定より時間がかかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、L. majorにおいて共生ウイルスが原虫の宿主への病原性を上げるメカニズムを明らかにするために、トランスクリプトーム解析やノックアウトマウスを用いた感染実験を行う。
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