2019 Fiscal Year Annual Research Report
拡張viromeデータと長鎖シーケンサーを用いたファージと宿主のビッグデータ解析
Publicly Offered Research
Project Area | Neo-virology: the raison d'etre of viruses |
Project/Area Number |
19H04846
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
矢原 耕史 国立感染症研究所, 薬剤耐性研究センター, 室長 (70542356)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ファージ / ヴァイローム / ロングリード / メタゲノム / 細菌 / ゲノム / 口腔 / 組換え |
Outline of Annual Research Achievements |
第1期の公募研究では、地球上のウイルスの総体(ヴァイローム)データを、宿主細菌に重複感染したウイルス(ファージ)間でのゲノムの組換えの観点から解析した。第2期ではこの研究を、複数の観点から拡張している。例えば、先のデータに含まれない宿主菌とファージの組を解析しており、まず、胃がんの原因菌でゲノムの組換え率が非常に高いことで知られるピロリ菌とそのファージに注目した研究を行った。世界各地から分離された約30株のソフトコア遺伝子について、組換えの痕跡を網羅的に検出することで、DNA helicaseやterminaseのような従来は組換えを受けにくいと言われていた遺伝子でも、全長に渡って組換えを頻繁に受けていることを明らかにした(Yahara et al (2019) Microbial Genomics)。一方、ウイルスと宿主細菌の関係を探るモデル系として、両者が高密度に存在する環境の1つとして口腔に注目し、世界で初めて大型長鎖シーケンサー(PromethION)を用いて唾液を可能な限りdeepにメタゲノム解読した。まずは健常者を対象に、得られたデータを最新のプログラムでまずアセンブルし、Illuminaのショートリードで補正を行い、得られたcontigを分類することで、数百のファージを検出した。その存在量が特に多いものの中には、口腔連鎖球菌に感染するファージのクラスターや、200kbを超えるジャンボファージが含まれることも明らかになった。さらに、それらの多くは薬剤耐性遺伝子の遠縁ホモログをコードしていることや、口腔ファージの遺伝子総数の中でコア遺伝子は僅か0.3%である一方、個人特有のシングルトン遺伝子が86.4%を占めることも明らかになった。進捗の過程で2つの国際ワークショップで口頭発表を行い、論文も一流誌の査読を受けてrevision中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
既に成果の1つが国際誌に出版され、もう1つの論文も、2つの国際ワークショップでの口頭発表を経て、一流誌のrevision中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も計画通りの進捗が得られるよう、日々出来る限りの努力する。
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