2019 Fiscal Year Annual Research Report
Evolutionary paths to establish flexibility in plant sexuality
Publicly Offered Research
Project Area | Determining the principles of the birth of new plant species: molecular elucidation of the lock-and-key systems in sexual reproduction |
Project/Area Number |
19H04862
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
赤木 剛士 岡山大学, 環境生命科学研究科, 准教授 (50611919)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 性決定 / 倍数体 / 生殖進化 / 果樹 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、六倍体の栽培ガキにおける「雌雄同株性」および「偶発的な両性花着花性」に着目し、本年は、1. GWAS解析による雌雄花の着生バランス決定要因の探索、2. 共発現ネットワーク解析による雄花から両性花の派生機構の解明、3. Y染色体性決定因子OGIを有さない個体群での偶発的な雄花着花機構の解明、の3点における研究を行った。 1. に関して、交雑分離後代およびカキ品種群におけるGWAS解析から、幅広い品種間において共通する2つの雌雄バランス制御ゲノム領域の同定に至った。これらの領域にはヒストンリモデリング関連遺伝子が多く蓄積しており、既に報告されている栽培ガキのエピジェネティックな性表現制御 (Akagi et al. 2016) と関連する可能性が示唆された。 2. に関して、カキ25品種における雌雄花・両性花分化時期のトランスクリプトーム解析データから、両性花が派生する特異的な条件として、雄花にストレスシグナル、特にエチレン・ABAに関連する発現制御が重要な役割を担っている可能性が示唆された。これらの植物ホルモンの外的処理を含む共発現ネットワーク解析より、これらのストレスシグナルを統御して雄花における雌器官形成促進を担う因子候補として、シロイヌナズナのNAGTHA1オーソログが同定された。 3. に関して、制決定遺伝子OGIを有さないカキ品種西条において、出雲地域で頻出する雄花着花系統について、雄花形成過程およびその原因として、全ゲノムワイドなDNAメチレーションレベルの揺らぎがOGIの標的遺伝子であるメス化統御因子MeGIに及ぶことで、MeGIの発現抑制が偶発的に生じ、遺伝的因子を持たなくても雄花を着花できる「非正規」な制御系の同定に至った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の主な目的である「樹内雌雄バランス決定因子の同定」および「偶発的な両性花着花機構の同定」において、すでに遺伝因子候補の同定に至っており、今後は機能証明および進化学的な成立由来の検討に入ることが可能である。 さらに、本来はメインの研究目的ではないものの、本年の研究において、OGIを有さない個体群における「非正規」な雄花着生機構にエピジェネティックな揺らぎが関与することも明らかにしており、こちらの点においても植物に特異な性の揺らぎの進化機構に関して新規性の高い結果が得られることが期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
すでにGWAS解析において同定しているゲノム領域の候補因子に関して、PacBioシークエンスによって全ハプロブロックデータを取得し、OGIの制御に潜在的に関与する機能変異を同定する。得られた候補によっては、カキカルスの形質転換系を通じて、OGIの発現レベル及び、その結果として生じるMeGIのDNAメチル化程度をレポーターとして機能検証を行う。 両性花形成に関与すると思われるNGA1遺伝子の形質転換をタバコ及びシロイヌナズナで行い、雌器官形成促進への関与を検証する。さらに、六倍体の栽培ガキではサイトカイニン処理によって人工的に両性花を誘導することが可能であり、この性質は二倍体野生種には存在しない。すでにこの性質に関与する制御系を共発現ネットワーク解析から得ており、シロイヌナズナRAD1のオーソログがこの系を統御する可能性が示唆されており、こちらに関してもモデル植物群における形質転換を通じて遺伝子の機能検証を行う予定である。 また、上記の候補遺伝子群の発現および下流経路の制御に関して、六倍体特異性を生み出す要因を明らかにするため、候補因子を中心にした共発現関係およびDAP-Seq解析による標的群の同定を目指す。
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[Journal Article] Two Y-chromosome-encoded genes determine sex in kiwifruit2019
Author(s)
Takashi Akagi, Sarah M. Pilkington, Erika Varkonyi-Gasic, Isabelle M. Henry, Shigeo S. Sugano, Minori Sonoda, Alana Firl, Mark A. McNeilage, Mikaela J. Douglas, Tianchi Wang, Ria Rebstock, Charlotte Voogd, Paul Datson, Andrew C. Allan, Kenji Beppu, Ikuo Kataoka, Ryutaro Tao
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Journal Title
Nature Plants
Volume: 5
Pages: 801-809
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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