2020 Fiscal Year Annual Research Report
思春期の社会的経験を通してコミュニケーション能力が成熟する神経機構
Publicly Offered Research
Project Area | Science of personalized value development through adolescence: integration of brain, real-world, and life-course approaches |
Project/Area Number |
19H04874
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
田中 雅史 早稲田大学, 文学学術院, 専任講師 (20835128)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | キンカチョウ / 中脳水道周囲灰白質 / ドーパミン / 思春期 / コミュニケーション / 歌鳥 / 鳴禽 / ソングバード |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、長く言語学習や音声コミュニケーションを調べる動物モデルとして用いられてきたキンカチョウというスズメ亜目の鳥(songbird, 歌鳥)を用いることで、思春期の社会的経験がその後のコミュニケーションや神経回路に与える影響を効率良く明らかにすることを目指した。本研究の結果、思春期の開始頃(20~60日齢)に親から隔離され、社会的に孤立して育てられたキンカチョウは、正常に育てられたキンカチョウと比較し、成長後の他の鳥との音声コミュニケーションが顕著に減少し、その歌の音程やリズムも不安定であることが分かった。我々が新規に開発した短時間フーリエ解析を利用した発声リズムの解析プログラムで分析したところ、社会的隔離を経験した鳥では、正常な鳥に比べ、歌のテンポが不安定であり、さらに、歌における個々の発声の順序を人工的に入れ替えてシャッフルするとテンポの安定性が崩れるという、通常の鳥の歌では認められる時間的性質が認められなかった。このテンポの発声順序依存性は、リズムをもった音声なら必ず見られる特性というわけではないようで、たとえばマウスが求愛時に発する超音波域の発声や、ヒトの言語的な音声も一定のテンポを持つが、その発声の順序を入れ替えてもテンポの安定性は変化しないこともわかってきた。しかし、興味深いことに、ヒトの音楽的な歌(独唱)は、キンカチョウの歌のように、順序を入れ替えることでテンポの安定性が崩れることがわかった。シミュレーションの結果から、キンカチョウの歌やヒトの歌に見られる発声順序依存性は、オシレーターのようなメカニズムでそのリズムが維持されているという可能性が示唆されている。現在、これらの成果をまとめ、国際専門誌への投稿準備を進めているところである。
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Research Progress Status |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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