2019 Fiscal Year Annual Research Report
児童期におけるトラウマ体験が思春期主体価値形成に与える影響に関する研究
Publicly Offered Research
Project Area | Science of personalized value development through adolescence: integration of brain, real-world, and life-course approaches |
Project/Area Number |
19H04879
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
藤原 武男 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (80510213)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 価値形成 / 思春期 / 発達 / トラウマ / 子ども |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、被災地コホートおよび足立区コホートを追跡し児童期におけるトラウマ体験、すなわち被災トラウマ、虐待トラウマ、そしてその両方の体験を有した子どもが、これらの体験がなかった子どもと比較し、思春期にどのような主体価値を、どの程度形成するのか(主体価値が形成されにくい状態としての主体価値形成不全も視野に入れる)、それを定量的に明らかにすることである。 被災地コホートにおいては、実施可能性を考慮し、宮城県・福島県・三重県における参加者に追跡調査を行った。足立区コホートにおいては、東京都足立区と応募者が共同で平成28年度に実施した「足立区子どもの健康・生活実態調査」に参加している、7つの中学校における中2の参加者が今年高2となるので、そのコホートで同意が得られたものを追跡対象とした。 それぞれの参加者において、当該領域内の連携研究によってすでに開発されている主体価値測定法を導入し主体価値を定量的に評価した。また、様々な心理実験により主体価値を明らかにすることを試みた。さらに、fMRIの測定によりこれまでの生活習慣と主体価値がどのように関連するのかを可視化し、バイオマーカーとなりうるのか、生体試料との関連はあるのか、などの検証をすべく調査を実施した。 調査は被災地においては大型台風の影響で、足立区の参加者においては新型コロナウイルスの影響で中断せざるを得なかったため、参加者数は2019年度においては限定的であった。中間解析結果としては、一定の見解が得られたが、2020年度において調査を継続し参加者数を増やして解析をし直す必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
被災地の調査を予定していた日に大型台風が直撃し、実施できなかったこと、その後の台風による被災状況が長引いて再調整も困難であり、十分な参加者を得られなかったため、やや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、昨年度の調査に台風等で参加できなかった参加者の追加調査を行う。足立区コホートにおいては、東京都足立区と応募者が共同で平成28年度に実施した「足立区子どもの健康・生活実態調査」に参加している、7つの中学校における中2の参加者で昨年度の調査に参加できなかった方々を対象とする。当該領域内の連携研究によってすでに開発されている主体価値測定法を導入し主体価値をそれぞれ被災地コホート、足立区コホートにおいて定量的に評価する。また、時間選好性についても調査する。同時に質問紙によるトラウマ体験、被虐待経験、親子のメンタルヘルス等を把握し、また血圧、心拍変動等からストレス程度を把握する。足立区コホートにおいてはMRIの測定も行う。さらに、得られたデータの解析および論文執筆を行う。
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