2019 Fiscal Year Annual Research Report
脳溝形成の個人差に着目した早産児神経発達予後予測モデルの開発
Publicly Offered Research
Project Area | Integrative research toward elucidation of generative brain systems for individuality |
Project/Area Number |
19H04900
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
城所 博之 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (20647466)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 早産児 / 神経発達症 / 脳溝 / MRI / 中心溝 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトの大脳の脳溝パターンは遺伝要因と環境要因が織りなすフィンガー・プリント(指紋)であり、脳溝パターンには個性が宿る。近年、ヒト成人の脳溝パターンと認知機能や神経発達症との関連が報告され始めている。本研究の目的は、環境要因が強く反映するヒト早産児の多様な脳溝パターンと多彩な神経発達症との関係を最新のMRI技術から明らかにし、脳溝パターンに着目した神経発達予後予測モデルを開発することである。また、私達が見出した「特異な中心溝」をもつ早産児の運動機能、高次脳機能を明らかにすることである。 初年度は、名古屋大学医学部附属病院NICUで入院管理された在胎30週以下の早産児(コホートA)の6歳で施行された脳構造MRI画像約20例と共同研究施設である安城更生病院NICUで入院管理された在胎30週以下の早産児(コホートB)の6歳時の脳構造MRI画像約100例のうち、早産児特有の重篤な脳障害例を除外した合計120例の脳構造MRIを対象として抽出した。各症例のMRI画像をFreeSurferを用い、脳各領域の体積や大脳皮質表面積や皮質厚を解析した。次に、脳溝解析(surface-based analysis:VanEssen.NeuroImage 2012)は、caretver5.65ソフトウエアを用いて構築された3次元脳表面画像から、脳表面積、脳回指数などの各種パラメータや、中心溝の深さ、長さ、脳溝ピット解析(sulcal pit and pattern analysis:Im K and Grant PE.NeuroImage2017)を症例毎に解析を施行した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、2つのコホートを用いて、ヒト早産児の多様な脳溝パターンと多彩な神経発達症との関係を主に6歳時データから明らかにすること、さらに、特異な中心溝形成をもつ超早産児の臨床像と運動・感覚野の機能を神経心理学的あるいは神経画像の両面から明らかにすることである。 このうち、初年度は6歳時の頭部MRI構造画像データを解析し、神経症状との関係を明らかにすることが目標であった。 現在までに、私たちは6歳の構造画像から脳各領域の体積や脳表面積を計測し、神経心理学的評価バッテリーとの相関解析を施行できている。一方で、集団画像解析が計画より遅れて進行中であり、次年度に達成する予定で調整中である。
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Strategy for Future Research Activity |
1.コホートAの新生期と1歳半のMRIを用いた脳溝パターンと周産期因子との関係を明らかにする。コホートAの修正40週(新生児期)および1歳半で施行された構造MRIは約100~120例である。脳溝画像は、昨年度と同様の手法を用い解析し、周産期因子(低栄養、感染・炎症、慢性肺障害、各種薬剤など)と脳溝パターンの関係を明らかにする。 2.「特異な中心溝」を呈する児に対する機能解析 6歳時MRIの脳溝解析の結果から、特異な中心溝パターンを認める症例に対し、詳細な神経心理学的評価、利き手、微細運動評価、機能的MRI(functional MRI)撮像を行う。過去の私達の検討から在胎30週以下の早産児の約10%に観察されると推定され、本研究では13~14名が研究対象者と見込まれる。機能的MRIは名古屋大学「脳とこころの研究センター」に設置された3テスラMRI機器を用いて、四肢、顔面、体幹の運動や感覚刺激課題に対するBOLD(Blood Oxygen Level Dependent)信号の変化に加え、安静時機能的MRIを撮像する。 得られた脳画像を解析し、運動・感覚課題に対する脳領域を同定し、一次運動感覚野のマッピングを行う。また、安静時機能的MRIはFSL(FMRIB Software Library)、SPM(Statistical Parametric Mapping)などの脳画像解析のためのソフトウエアを使用し、感覚運動野ネットワークの変容の有無、異常な脳回・脳溝部位を関心領域としたネットワーク解析を行う。また、中心溝周囲の脳溝に与える影響を、グラフ理論を用いて解析する。
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[Presentation] Association of gray matter volume in preterm infants with neurodevelopmental outcomes2019
Author(s)
Hiroyuki Kidokoro, Miharu Ito, Takafumi Ushida, Yoshiaki Sato, Hiroyuki Yamamoto, Tomohiko Nakata, Yukako Muramatsu, Akiko Saito, Yu Okai, Masaharu Tanaka, Yoko Sakaguchi, Yuki Maki, Masahiro Kawaguchi, Takashi Suzuki, Tatsuya Fukasawa, Tetsuo Kubota, Toru Kato, Akihisa Okumura, Masahiro Hayakawa, Jun Natsume
Organizer
Pediatric Acadimic Society meeting
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