2019 Fiscal Year Annual Research Report
A novel gene-environment interface: neuroepitranscriptomics
Publicly Offered Research
Project Area | Integrative research toward elucidation of generative brain systems for individuality |
Project/Area Number |
19H04907
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
王 丹 京都大学, 高等研究院, 特定拠点准教授 (50615482)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 個性 / 環境 / エンリッチ / 孤立飼育 / 行動解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、(1) 飼育環境がマウスの行動特性に与える影響をBALB/c系統を用いて探索した。また、(2) m6A読み取りタンパク質であるYTHDF1、YTHDF3を興奮性神経細胞でノックアウトした2種類のC57B6コンディショナルノックアウトマウスの表現型の探索を開始した。(1) では、BALB/c野生型系統において、通常飼育、エンリッチ環境飼育、社会的孤立飼育がマウスの行動における表現型に与える影響を、行動テストバッテリーを用いて複数の角度から詳細に検討した。通常飼育マウスと比較し、エンリッチ環境飼育マウス、社会的孤立飼育マウスは、活動性、不安様行動、協調運動能力、痛覚感受性、聴覚感受性、プレパルス抑制という多くの領域に渡って異なった性質を示しており、飼育条件により違った“個性”が創発されていた。また、実験を進める過程で、エンリッチ環境で飼育されたマウスを通常飼育環境に移行すると、通常飼育マウスと比較し、個体間で激しい攻撃行動が起こることを発見した。“個性”はそれぞれの個体に備わっているが、その現出の有様は状況により様々に変化すると考えられる。この発見は、生育環境により創発された“個性”の一面が外部環境をトリガーとすることによりはじめて現出することを、実験的に示すものである。さらに、個体間での攻撃行動のみならず、通常飼育環境に移行されたエンリッチ環境飼育マウスのグループダイナミクスの通常飼育マウスと比較した特性を、飼育動画の解析を用いて検討中である。(2) では、m6A経路が“個性”創発に果たす役割を検討するため、Ythdf1 floxマウス, Ythdf3 flox マウスとCaMK2a-Creマウスを用いて、YTHDF1コンディショナルノックアウトマウス、YTHDF3コンディショナルノックアウトマウスを作成し、通常飼育環境で飼育した。その行動における表現型を行動テストバッテリーにて探索中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和元年度はエンリッチ環境飼育、社会的孤立飼育のそれぞれの飼育環境下のマウス行動のバッテリテストが完了し、エンリッチ環境で飼育されたマウスを通常飼育環境に移行すると、通常飼育マウスと比較し、個体間で激しい攻撃行動が起こった。この発見は、生育環境により創発された“個性”の一面が外部環境をトリガーとすることによりはじめて現出することを、実験的に示すものである。計画通りに実験が行われ面白い結果が得られたため、概ね順調に進展していると自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、計画通りに、m6Aシグナルを撹乱するために作成したYTHDF1コンディショナルノックアウトマウス、YTHDF3コンディショナルノックアウトマウスを用いて、野生型マウスと比較して、環境適応性において差があるかないか、行動実験と分子実験で検証する。
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Research Products
(10 results)