2019 Fiscal Year Annual Research Report
オープンリソースの深層学習と標本外予測による個性の脳マッピング
Publicly Offered Research
Project Area | Integrative research toward elucidation of generative brain systems for individuality |
Project/Area Number |
19H04914
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
地村 弘二 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 准教授 (80431766)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 機能的MRI / オープンリソース / 深層学習 / 個人差 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳画像のビッグデータを用いて,個性の全体像の予測器を構築し,独自の実験で取得した脳画像データから,その被験者の個性の全体像を描出し,マッピングにより特徴的な脳機能を同定した. まず,Human Connectome Project (HCP) 若年健常者(HCP Young Adult; N = 1200)から提供されている,行動課題遂行中の個人レベルの脳活動マップを用いて,脳活動マップから行動課題を分類できる分類器を構築する.とりわけ,具象物画像(ImageNet; )の学習済みのニューラルネットワークモデル(CNN)を用いて,ファインチューニング法により,HCPの脳機能画像と行動課題の関係を学習させた.行動課題の分類正答率は95%を超え,十分な性能が得られた. 次にHCPデータにおける作業記憶(N-back)行動課題のデータを用いて,各被験者の一般流動性知能のを予測する予測器を構築した.HCPの行動課題を学習した分類器の全結合像を回帰予測できるようにし,作業記憶の脳活動マップとその被験者の一般流動性知能のスコアを関係を学習させたところ,全体の22%のばらつきが予測可能になった. そして,HCPとは独立の被験者から収集した脳画像データを,ファインチューニングを用いて学習させた.上記のHCPの画像分類器に,作業記憶課題のマップを学習させ,さらにオリジナル被験者の課題切り替え課題遂行中の脳機能マップを再学習させたところ90%以上の正答率がえられ,その正答率は,課題条件間で異なることをしめした. 以上の結果は,CNNは,1) 脳機能マップから行動課題が予測できる,2) 個人差を予測できる,3) オリジナルに収集した小サンプルサイズのマップの分類ができる,ことを示している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,オープンリソース(HCP)で提供されている脳画像のビッグデータを用いて,深層学習による予測器を構築し,畳み込みニューラルネットワークモデルにより,個人の脳画像から心理・行動特徴を表現する個性の全体像を描出することを可能にする技術を開発することがまず重要であった.2019年度は,まず基盤になる技術が整備され,当初予想していたよりも高いパフォーマンスを示すことがわかった.とりわけ,個人の脳機能マップから,一般流動性知能のスコアを予測できるようになったことにより,今後は,個人差の解析に焦点を当てることができるようになった.また,独自に収集したオリジナルデータをHCPデータの分類器に再学習することが可能になり,オリジナルデータからの予測の実装に対して,技術的展望が開けた.深層学習の理論的な貢献はあまりないかもしれないが,ヒト認知神経科学において,機械学習とビッグデータとオリジナルデータを統合的に解析する,実践的な環境を構築できたと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
今研究の最終的な目標は,個人の脳画像から,多次元の行動特徴を予測する予測器を,深層学習により構築して,特徴的な脳機構を同定する脳マッピングを,ビッグデータを学習した予測器に,独自の実験で収集した脳画像データで個性の予測と脳マッピングを行い,サンプル外検証により行うことにある.今後は,まず,多次元の行動特徴の予測を行う予定である.学習する脳画像の次元を増やすことにより,行動の多次元表現がより高精度で予測できるようになると考えている.また,行動の多次元表現を,次元縮約することにより精度を上げることができるか検討をする.そして,オリジナルデータの被験者の脳画像と行動特徴のデータを予測できるかを検討する.
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