2019 Fiscal Year Annual Research Report
高精度行動解析と可逆的神経活動操作による「社会的個性」創発過程の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Integrative research toward elucidation of generative brain systems for individuality |
Project/Area Number |
19H04919
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
野元 謙作 麻布大学, 獣医学部, 特任助教 (30786976)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 個性 / マウス / 社会行動 / トラッキング / 攻撃行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、トラッキング装置の組み立て、最適化を行った。まず、オープンソースプロジェクトとして公開されている文書をもとに材料を調達し、トラッキング装置を組み立てた。文書に詳細が書かれていない部分がいくつかあり、オリジナル論文の著者に電子メールあるいはリモートデスクトップにて問い合わせた。最初の段階として、1匹のRFIDを埋め込んだマウスを正常にトラッキングできるようになったことを確認した。最大4匹までの同色のマウスがトラッキング可能とされているので、次にマウスの個体数を増やしてトラッキング精度を検証した。その結果、マウスが活発に動いている暗期にはトラッキング精度が比較的良いものの、マウスにとっての休息期である明期にはしばしば個体識別に失敗しているケースが見られた。詳細に観察したところ、マウスが互いにくっついて休息をとっているハドリングの前後でマウスの個体識別が機能していないことが多かった。ハドリング中はほぼ全てのトラッキング装置にとって鬼門であり、個体識別が悪くなることは想定内だったが、ハドリング後の個体識別の復調の不安定さが問題である。近交系ではない遺伝的にある程度のばらつきを持ったクローズドコロニーで維持されているマウス系統の方が個性を発現する可能性が高いと考え、ICR系統を導入し、それを使ったレジデントイントルーダーテスト、チューブテストなどの行動試験を確立した。今後の実験に使用するアデノ随伴ウイルスベクターを入手し、ターゲットの神経核に打ち、薬理遺伝学のためのhM4D(Gi)が十分発現していることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初想定していたより、トラッキング装置の精度が良くなく、RFIDアンテナのチューニングのばらつきの問題、照明の当たり方の調整、カメラとアリーナの位置微調整、アリーナ内に設置する床敷、餌箱、巣などについて最適な製品の選定、入手に時間がかかり、当初の計画よりやや進捗が遅れている。使用予定のマウス系統、マウス遺伝学ツール、行動試験の導入については計画通り進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初想定していたより、トラッキング装置の精度が良くないことが問題となっている。今後は行動実験を実施しながら、照明の当たり方の調整、カメラとアリーナの位置微調整、など細かい改善を続けていく。ハトリング後のRFIDによるマウスの捕捉に問題がある可能性があり、この場合はアンテナの交換なども検討する。もし改善が見られなければ、比較的トラッキング精度の良い暗期だけを解析対象にするなどの工夫が必要となるかもしれない。
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