2019 Fiscal Year Annual Research Report
超混雑環境における群集移動モデルの構築と安全なナビゲーションに関する研究
Publicly Offered Research
Project Area | Systems Science of Bio-navigation |
Project/Area Number |
19H04943
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
大西 正輝 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 研究チーム長 (60391893)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 群集移動モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
祭りやスタジアムなど多くの人が集まる場所は常に危険と隣り合わせである。本研究では大規模なイベントに集まる群集のナビゲーションに着目し、最適な帰宅動線を設計することや、状況に合わせて群集への提示情報を制御しながら適切に誘導することで安全で安心なナビゲーションを実現することを目的とする。特に、混雑した環境において群集が発生すると指示に従わない人が増加する。そのような人が増えると追従行動が増えていくため、ポジティブフィードバックが働き危険度が増加する。そこで本研究では群集を安全に誘導するための基礎技術として、実際の混雑した環境において群集を計測することで、指示に従わない人を含めた群集の目的地選択と移動をモデル化し、さらに、そのモデルを用いて群集のシミュレーションを行うことで、最適な帰宅動線の設計や、効果的な情報提示による安全で安心なナビゲーション方法を科学的に明らかにすることを目指す。 本件度は、指示に従わずに他の人についていく人の移動モデルをシミュレーションに組み込むことで群集流動シミュレーションに反映できるように拡張した。また、これまでに行ってきた大規模なデータ同化を行うことで、従来の軍隊のように全ての人が指示に従って移動するモデルに比べて二乗平均平方根誤差(RMSE)で実際の計測結果との誤差を従来のモデルに比べて60%以下に抑えることに成功した。さらには、安全で安心なナビゲーションという観点でサイネージなどの誘導情報を変化させた場合や、誘導経路や露店の出店位置を変化させた場合に、混雑具合がどのように変化するかを検証した。これらの研究成果をシステム制御情報学会研究発表講演会や人工知能学会全国大会に投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、群集の移動モデルについて、人についていく効果や経路を選択する様子のモデル化およびそのモデルをシミュレーションへ組み込むことによってそのモデルの検証を行うことができており、計画通りおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに作成してきた群集の移動モデルをシミュレーションに組み込むことで、それらの効果を十分に評価する。さらには安全で安心な群集の移動を実現することを目指し、群集の制御方法を考える。特に、リアルタイムで群集を制御する方法として強化学習を用いた制御手法およびモデル予測制御処方に関する研究を行い、シミュレーションに実装することで、これまでにモデル化した群集を安全に移動制御できるかどうか評価する。 なお、新コロナウイルスの影響によって、これまで実証実験を行ってきていた関門海峡花火大会や新国立劇場の避難体験オペラコンサートについては2020年度の開催中止が決まっている。また東京オリンピック2020についても延期が決まった。このため新たな実証実験や大規模な人流データを取得することは困難であるが、これまで過去に撮りためたデータを用いて研究を進め、またシミュレーションによって検証することができるため、大きく研究計画を変更することなく研究を推進することができると考えている。
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