2019 Fiscal Year Annual Research Report
GPCR細胞内シグナル伝達の立体構造に基づく定量的解析
Publicly Offered Research
Project Area | Integrative understanding of biological signaling networks based on mathematical science |
Project/Area Number |
19H04946
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
幸福 裕 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 助教 (80737940)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | シグナル伝達 / 薬学 / 生物物理 / 蛋白質 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) Gタンパク質共役型受容体(GPCR)の活性化機構の解明 GPCRがリガンド依存的にGタンパク質など下流のエフェクター分子を活性化する機構を解明するため、これまでに構造が明らかになっていない、GPCRとリガンドのみが結合した状態のNMR解析をおこなった。常磁性緩和促進増大(PRE)法を用いた解析から、GPCRにリガンドのみが結合した状態では、Gタンパク質などが結合した状態とは第6膜貫通ヘリックスの構造が大きく異なっていることがわかった。また、様々なリガンドが結合した状態のNMRスペクトルから、GPCRの活性化状態には複数構造が存在すること、それらの活性化状態によって、GPCRのシグナル伝達活性が定量的に説明できることが明らかになった(Nat Chem Biol 2020)。また、GPCRの活性化は脂質により制御を受けること、およびその機構についても構造生物学的に解明できた(Sci Adv 2020)。 (2) Gタンパク質とエフェクター複合体の解析 GPCRがGPCRキナーゼ、アレスチンなどのエフェクター分子を活性化する機構を解明するため、エフェクター分子の安定同位体標識およびNMR解析をおこなった。イソロイシンまたはメチオニンのメチル基を1H, 13C標識することで、エフェクター分子の構造をNMRにより解析する条件を確立した。NMRシグナルの帰属はイソロイシンまたはメチオニンを1残基ずつ変異することによりおこなった。アレスチンに対してGPCRを添加することで、一部のNMRシグナルに変化が観測されたことから、アレスチン-GPCR複合体のNMR解析条件を確立できたと考えた。また、GRKに対して、スピンラベルを導入したGPCRを添加した結果、GRKのNMRシグナル強度が変化したことから、GRKとGPCRの相互作用を検出できたと考えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、GPCRキナーゼ、アレスチンなどのエフェクター分子について、GPCRとの複合体を調製し、そのNMR解析条件を確立することを目指していた。実際に、エフェクター分子に対してGPCRを添加した条件で、NMRシグナルの変化が観測されたことから、おおむね計画通りに進捗していると判断した。また、当初の計画にはなかったが、リガンドのみが結合したGPCRのNMR解析についても進捗があり、論文への発表をおこなった(Nat Chem Biol 2020、Sci Adv 2020)。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに、NMR法を用いて、エフェクター分子とGPCRとの相互作用を検出できていることから、今後、詳細な解析を進め、相互作用様式やエフェクター分子の構造変化を明らかにする。これにより、GPCRによるエフェクター分子の活性化を定量的に説明することを目指す。
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Research Products
(4 results)
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[Presentation] Dynamics of G protein-coupled receptor related to various signaling revealed by NMR2019
Author(s)
Kofuku Y, Shiraishi Y, Natsume M, Okude J, Sato M, Imai S, Kondo K, Mizumura T, Maeda M, Tsujishita H, Kuranaga T, Inoue M, Nakata K, Mizukoshi T, Ueda T, Iwai H, Shimada I
Organizer
第57回日本生物物理学会年会
Invited
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