2019 Fiscal Year Annual Research Report
意志力を司る細胞集団メカニズムの解明
Publicly Offered Research
Project Area | Creation and Promotion of the Will-Dynamics |
Project/Area Number |
19H05002
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
人羅 菜津子 北海道大学, 薬学研究院, 助教 (40762191)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 神経科学 / 情動 / 記憶・学習 / 光遺伝学 |
Outline of Annual Research Achievements |
葛藤状況においてある行動を起こすべきか否かは、揺れ動く正と負の意志のバランスによって決定すると考えられる。私は、正と負の意志が競合すると考えられる葛藤試験を考案し、研究を進めてきた。葛藤試験中のマウスからリアルタイムで神経活動を測定することにより、正の意志に関わる神経回路を発見した。申請研究では、負の意志に関わる神経経路についても探索し、両経路がバランスを取って適切な行動選択を制御するメカニズムを解明する。 これまでの研究から、マルチサイトファイバーフォトメトリー法による自由行動下での in vivo 神経活動測定により、恐怖を乗り越えて報酬を獲得する時に活性化する神経経路を発見している。本研究では、光遺伝学的手法を活用して、回路の活動とマウスの行動の因果関係を追求した。光駆動性陽イオンチャネルであるチャネルロドプシン(ChR2)を用いて経路を選択的に活性化した。経路の人工的な活性化は、マウスの行動を促進して報酬潜時を短縮させたことから、経路の活動の行動に対する十分性が示された。反対に、光駆動性塩化物イオンポンプであるハロロドプシン(NpHR)を用いて経路を選択的に不活性化した。経路の人工的な不活性化は、マウスの行動を抑制して報酬潜時を延長させたことから、経路の活動の行動に対する必要性が示された。以上より、回路の活動とマウスの行動の因果関係が示された。今後は、各種コントロール条件での実験データを収集していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
光遺伝学的手法を用いた回路の活動と行動の因果関係の検証について、研究の主となる実験条件でのデータ収集が終了した。現在、各種コントロール条件での実験データを収集しており、研究の進捗状況はおおむね順調と評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
コントロール条件での実験データの収集を進める。また、負の意志に関わる神経活動(行動が抑制されている時に活性化する細胞集団や神経回路など)についても探索する。
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Research Products
(2 results)