2019 Fiscal Year Annual Research Report
意欲行動の持続にかかわる神経基盤の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Creation and Promotion of the Will-Dynamics |
Project/Area Number |
19H05027
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
田中 謙二 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 准教授 (30329700)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 意欲 / 根気 / 腹側海馬 / フォトメトリー |
Outline of Annual Research Achievements |
海馬CA1活動観察には、海馬CA1神経細胞選択的にyellow cameleon nano50(YC)を発現させたマウス(Htr5b-tTA::tetO-YC)を用いた。海馬CA1に光ファイバーを留置し、行動中の活動観察を行った。 レバーを複数回押すと餌が獲得できる意欲行動(オペラント行動)において、特に、レバーを押している最中には、腹側海馬CA1神経細胞の活動が抑制された。背側海馬CA1神経細胞活動も同様に抑制されるか調べたところ、レバーを押している最中に、背側海馬CA1神経細胞の活動は抑制しなかった。このことから、腹側海馬と背側海馬の機能的な違いが示唆された。 次に、 腹側海馬CA1神経細胞の光操作によって、腹側海馬の活動低下と意欲行動の持続に因果関係があるか調べた。光活性化の実験では、海馬CA1細胞選択的にChR2を発現させたマウス(Htr5b-tTA::tetO-ChR2(C128S))を用いた。腹側海馬の両側に光ファイバーを留置し、レバー押し行動中に限って強制的にCA1神経細胞の活動をを行うと、意欲行動の持続が阻害された。次に、意欲行動中に腹側海馬を光抑制することで、レバー押し行動の持続を促進させるか調べた。腹側海馬の光抑制には、海馬CA1選択的にArchTを発現させたマウス(Htr5b-tTA::tetO-ArchT)を用いた。その結果、CA1神経細胞抑制を更に亢進させると、意欲行動の持続を要求されるタスクにおいて、その成功確率が上がることがわかった。 背側海馬CA1神経細胞に光興奮、光抑制の操作を行ったが、いずれの操作も意欲行動の持続に変化は無かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
腹側海馬が意欲行動の持続に関わることを実証できたから。
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Strategy for Future Research Activity |
腹側海馬CA1神経細胞の活動低下が、どのようなメカニズムを介して行われているのか、特に海馬へ投射するセロトニン神経の役割に注目して調べる。
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