2019 Fiscal Year Annual Research Report
Study on countermeasures against weathering of rock cave church for urban culture and landscape preservation in Cappadocia, Turkey
Publicly Offered Research
Project Area | The Essence of Urban Civilization: An Interdisciplinary Study of the Origin and Transformation of Ancient West Asian Cities |
Project/Area Number |
19H05036
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊庭 千恵美 京都大学, 工学研究科, 准教授 (10462342)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 凝灰岩 / 微気候 / 熱水分物性値 / 撥水剤 / 文化財保存 |
Outline of Annual Research Achievements |
トルコのカッパドキアにある岩石遺跡群は世界遺産にも登録されており、この地域の文化や歴史を伝える遺構や壁画の支持体としての凝灰岩の風化対策が課題となっている。本研究は、2か所の岩窟教会を対象に、教会外壁を構成する脆弱な凝灰岩の表面風化メカニズムを明らかにすることと保存対策手法(主に表面撥水処理を想定)の検討とその効果検証を行うことを目的としている。 2019年度はまず現地調査の事前準備として、これまで測定された1か所の教会(レッドバレー・ウズムル教会)付近で取得したデータの見直しやセンサー設置方法の再検討、国内での撥水剤による劣化対策テストの結果確認、現地の歴史や教会内壁画の美術的価値について文献調査等を行った。 2019年9月には約1週間の現地調査を行った。数年前から測定を行っているレッドバレー地区ではセンサー類の確認と、撥水剤を塗布した小岩体の劣化進行程度を確認した。新たに調査地としたパシャバー地区では、対象とする聖シメオン教会の近くに気象ステーションを設置し、教会付近の地盤や教会内部に温度・水分のセンサーを設置した。また、レッドバレー地区と同様に小岩体に撥水剤を塗布し、表面の風化を定量化するため釘を打ち込んだ。これらのセンサーのデータを定期的に確認するため、現地協力者に機器の取り扱い方法を伝え、データ回収を依頼した。その後協力者から送られたデータを基に2か所の微気候の違いを分析した。調査対象としている2か所では、卓越風向や風速が異なることが確認できた。 効果的な撥水処理を行うための基礎情報を得ることを目的に、教会外壁への雨の当たり方を検討した。2地域での教会の形状の違いをふまえCFD解析モデルを作成し、現地で取得した風向・風速データから解析条件を定め、風圧の分布を計算した。今後、このCFDモデルを拡張し、雨の当たりやすい場所をより詳細に検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目で行う予定であった現地でのセンサー設置と、現地協力者へのデータ回収依頼は滞りなくできたため、引き続き分析を行うことは可能である。 2年目は実験室での劣化試験と、劣化予測数値解析に用いる材料物性値の測定を行うことがメインの目的となるが、現地の岩石試料を持ち出す許可が得られ、協力者により既に国内へ運ばれているため、引き続き準備を進めているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルスの関係で、今年度はトルコでの調査が行えない可能性があるが、設置したセンサー類のデータは現地協力者から送られるため、データの分析は可能である。 実際の教会外壁の劣化状況の確認は現地で行う必要があるが、行けない場合は現地協力者とオンラインで確認ができるような措置を考える。
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