2019 Fiscal Year Annual Research Report
金属錯体による可逆的ヘテロリシスに基づく水素の高活性化と水素貯蔵材料開発への展開
Publicly Offered Research
Project Area | HYDROGENOMICS: Creation of Innovative Materials, Devices, and Reaction Processes using Higher-Order Hydrogen Functions |
Project/Area Number |
19H05053
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤田 健一 京都大学, 人間・環境学研究科, 教授 (80293843)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 水素 / 金属錯体 / ヘテロリシス |
Outline of Annual Research Achievements |
新たな水素科学(ハイドロジェノミクス)の構築へ向けた取り組みの一環として、高度に活性化された水素を創出する基礎原理を確立し、その理解を深化させることは極めて重要といえる。そして、高活性化された水素を活用する新規物質変換プロセスを開発し、反応化学のみならず、材料科学や斬新なデバイス設計へと波及させていくことが、本新学術領域における大きな課題である。 本研究の目的は、研究代表者がこれまで明らかにしてきた、金属錯体と機能性配位子の協働による水素分子の可逆的ヘテロリシスに関する理解を深化するとともに、この素反応を活用した有機分子の高速水素化反応ならびに高速脱水素化反応を触媒的に実現することである。さらに、上記の基盤成果を発展させ、これまでにない水素貯蔵系を構築し、使用しやすい水素貯蔵材料の開発へと発展させることにも挑戦する。 本年度は、イリジウム錯体触媒による水素分子の高速ヘテロリシス過程に関する調査に取り組んだ。その結果、まず、水素分子のヘテロリシス開裂を速やかに進行させるイリジウム錯体の合成に成功した。これに続き、ビピリドナート構造の配位子を有するイリジウム錯体と水素との反応により、水素分子のヘテロリシス開裂反応が速やかに進行し、陰イオン性の水素と陽イオン性の水素を生じることを明らかにした。また、このヘテロリシス開裂反応にともない、イリジウム錯体の色相が大きく変化することがわかった。この変化を応用し、領域内の共同研究を進めることで、高感度の水素センシング技術への発展が見込まれる。 さらに、水素貯蔵系の開発に関し、領域内共同研究を展開しており、斬新な水素貯蔵法としての展開を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の当初の研究実施計画は、「機能性配位子を有する新規イリジウム錯体触媒の設計と合成」ならびに「イリジウム錯体触媒による水素分子の高速ヘテロリシス過程に関する調査」であった。研究実績の概要欄に記載したとおり、これらのいずれについても、本研究課題の目的に沿った研究成果をあげることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究成果を基盤とし、今後は水素貯蔵材料の開発研究へと展開したい。なかでも、含窒素複素環式化合物や、ジオール類をはじめとするアルコール性有機化合物の脱水素化を鍵過程とする水素貯蔵法の開発に取り組みたいと考えている。さらには、領域内の共同研究を一層加速させ、水素センシング法の発展的研究や、高分子材料を活用する水素貯蔵技術への展開などにも挑戦したい。
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Research Products
(27 results)