2019 Fiscal Year Annual Research Report
The dispersal of protoplanetary disks: toward an unified theory of photoevaporation and MHD winds
Publicly Offered Research
Project Area | A Paradigm Shift by a New Integrated Theory of Star Formation: Exploring the Expanding Frontier of Habitable Planetary Systems in Our Galaxy |
Project/Area Number |
19H05080
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田中 圭 大阪大学, 理学研究科, 招へい研究員 (20634455)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 原始惑星系円盤 / 光蒸発 / 磁気駆動風 / ALMA |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、光蒸発と磁場駆動円盤風の複合フィードバックによる原始惑星系円盤散逸過程の解明を目指す。当該年度は主に、フィードバックが顕著となる大質量星形成について、物理過程を理論と観測の両面から調べた。大質量原始星G45における光蒸発流をALMA/VLA高解像度観測により発見し、理論モデルを組み合わせることでその性質を明らかにした (Zhang, Tanaka et al. 2019)。観測された光蒸発率は、研究代表者が理論予測していたものとよく一致しており、光蒸発率制御におけるダスト吸収の重要性が示された。代表者をPIとするALMA追観測プロポーザルも採択され、近く磁場駆動ジェットに関する偏波データが取得される見込みである。また、ALMA高解像度観測から大質量原始星の連星系IRAS16547の力学的/化学的構造を詳細に解明した (Tanaka et al. in prep.)。星形成領域中としては2例目となる塩化ナトリウムが発見された。円盤中での難揮発性物質の発見は、隕石中CAI/コンドルールの形成に関わる高温化学への応用が期待される。そして、代表者をPIとするマゼラン雲内の原始星サーベイ観測のデータも一部取得できたことで、継続的にフィードバックに対する観測研究が可能となった。理論面では、磁気流体力学シミュレーションから、大質量原始星アウトフローの強度 (Staff, Tanaka et al. 2019)、非理想MHD効果とダストサイズ依存性 (Marchand, Tomida, Tanaka et al. submitted) などを明らかにした。いずれも観測に対する指針を与える重要な結果を得ることができた。得られた成果は投稿論文として出版し(あるいは出版準備中)、また積極的にアウトリーチ活動でも紹介することで社会への還元を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の主題であるフィードバックに関連しては、光蒸発, 磁気駆動ジェットの詳細観測と、準解析理論モデルの検証にも成功した。原始星に付随する塩化ナトリウムの新たな発見は、隕石学など高温物質化学への新しい分野横断型研究創発へとつながる可能性が示された。また、磁気流体シミュレーションから、観測への非理想MHD効果検証への独自性の高い観測提案を行うことができた。数値シミュレーションと観測特性の直接比較のための模擬観測コードも開発中であり、ダスト偏光やCO輝線などが計算できる状態になっている。さらに、高校生対象のものから社会人対象としたものまで多様な形態の一般公演をさせていただき、得られた成果と宇宙科学の魅力を広く社会へ伝えるよう努めた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後もこれまでの成果をさらに進展させ、計画に基づき研究を遂行していく。まず、磁気流体計算コード Athena++ に輻射輸送を実装し、磁場と輻射の複合的作用を数値シミュレーションから明らかにする。フィードバックがより顕著で、既に観測データも揃っている大質量星形成のパラメタから始め、惑星形成の現場となる低質量星周りの原始惑星系円盤へと拡張してゆく。輻射/磁場によるどちらのフィードバックが円盤領域ごとにが優勢になるかを調べ、最終的には惑星形成に対する影響を明らかにしたい。また、流体シミュレーションと合わせて模擬観測によって円盤物理過程の観測特性を示し、観測データとの比較検証や観測提言にも発展させる。特にngVLA/SKAといった次世代電波望遠鏡による科学研究検討を行い、天文業界全体への貢献を目指す。理論モデルの発展的内容として、観測から新たに示唆されているダスト破壊/蒸発の効果を取り入れ、円盤物理に対する影響とその観測特性を調べたいと考えている。計画当初想定していたよりも太陽系形成初期における物質科学に対しての独自性の高い貢献が見込める。また、低金属量環境であるマゼラン雲のアウトフロー観測データが取得できたので、比較可能な低金属量星形成に対する数値シミュレーションへも挑戦したい。引き続き、投稿論文の執筆とアウトリーチ活動にも積極的に従事してゆく。
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Research Products
(13 results)