2019 Fiscal Year Annual Research Report
最新の理論モデルを考慮した低質量星周りの惑星形成の解明と種族合成モデルの生成
Publicly Offered Research
Project Area | A Paradigm Shift by a New Integrated Theory of Star Formation: Exploring the Expanding Frontier of Habitable Planetary Systems in Our Galaxy |
Project/Area Number |
19H05087
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
荻原 正博 国立天文台, 科学研究部, 特任助教 (90781980)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 惑星形成 / N体計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、現実的な原始惑星系円盤進化及び最新の惑星形成モデルを考慮した惑星集積N体計算を実行することにより、低質量星周りの惑星形成の描像を明らかにすることを目的としている。現実的な円盤進化としては、従来の円盤進化モデルでは無視されていた磁気駆動円盤風や光蒸発の効果を導入する計画である。また最新の惑星形成モデルの一例として、新たに提唱されているペブル集積も考慮する計画である。 本年度は、低質量星周りにおいて現実的な円盤進化モデルを作成することに主に取り組んだ。従来の円盤進化モデルでは、円盤の密度や温度は簡単なべき乗分布が仮定されていた。ところで最近の磁気流体計算及び長時間円盤進化計算によると、磁気駆動円盤風や光蒸発の影響下で進化する円盤は従来の描像とは大きく異なる可能性が指摘されている。これらの先行研究では太陽型星の場合が主に考えられていたが、本研究では低質量星周りでの現実的な円盤進化を1次元拡散方程式を数値的に解くことによって求めた。研究の結果、円盤はべき乗分布とは異なる複雑な進化をすることがわかり、特に中心星の近傍では従来モデルよりも低密度になることが明らかになった。また円盤が散逸する時間は低質量星ほど長くなり、これは観測から推定されている円盤寿命とも整合的である。 また別の研究として、低質量星周りで非常に有名なTRAPPIST-1系の惑星からの大気散逸も調べた。更に最新の惑星形成理論モデルとして、ペブル集積を考慮した惑星形成の研究も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は低質量星周りでの現実的な円盤進化モデルの作成に取り組み、この計算をほぼ完了することができた。また、TRAPPIST-1惑星系からの大気散逸やペブル集積を考慮した惑星形成過程などの最新の惑星形成モデルに関する研究にも取り組み、これらを論文として出版することもできており、おおむね順調に研究計画が進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究としては、本年度に作成した円盤進化モデルを用いた上で、惑星の成長と軌道進化を追う惑星集積N体計算を実行し、低質量星周りの惑星形成の具体的な描像を明らかにする計画である。惑星集積N体計算には、微惑星や原始惑星の衝突合体による成長とともに、円盤外側領域で生成し移動してきたペブルの集積による成長も考慮する。また、円盤中で成長した惑星は円盤ガスを降着し、これを大気として保持することが考えられるが、本研究ではこの大気獲得の効果も導入する計画である。
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Research Products
(6 results)