2019 Fiscal Year Annual Research Report
ニュートリノ相互作用を規定する対称性の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Exploration of Particle Physics and Cosmology with Neutrinos |
Project/Area Number |
19H05091
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
瀬戸 治 北海道大学, 高等教育推進機構, 特任准教授 (40547741)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 重力波 / 相転移 / 右巻きニュートリノ / 暗黒物質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画では、初期宇宙で起こった右巻きニュートリノに質量を生成する真空の相転移により生成される重力波観測を通じて重い右巻きニュートリノの質量起源となる高エネルギー領域でのニュートリノの相互作用に迫る。 先行研究では最も有望な素粒子模型であるバリオン数とレプトン数の差(B-L)をゲージ化した模型のスカラーポテンシャルにおける偽真空と真の真空との間にポテンシャル障壁を形成するためにヒッグス場を2種類導入したが、本年度は、1種類のヒッグス場のみからなる系でゲージ相互作用による輻射補正の効果のみで大振幅の重力波を生成するのに必要な強い一次相転移が実現できる場合について、これが実現できるヒッグス場の結合定数の範囲を同定し、また、予言される重力波のスペクトルとそのパラメーター依存性を明らかにした。この相転移によって誘起される宇宙背景重力波が DECIGO や Cosmic Explorer 等の将来実験によって検出可能であることも明らかにした。 右巻きニュートリノ相互作用に関して、ヒッグス場が2種類ある場合に、真空期待値を展開しないヒッグス粒子は暗黒物質候補となる。第三世代B-Lやミュータウといった非自明なゲージ相互作用の場合は、フレーバーに普遍的に相互作用数する場合に比べてLHC実験結果による制限が弱いため、様々な興味深い可能性が残っている。随伴対消滅する場合や、中性ゲージ粒子に対消滅する場合に対応する暗黒物質の質量領域では、宇宙線観測や加速器実験に対する豊かな示唆があることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ゲージ荷の違い、ゲージ結合定数とヒッグス自己結合定数に関する依存性を理解出来たたことで、令和2年度の主課題である湯川結合定数依存性の解明の準備が整ったため。
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Strategy for Future Research Activity |
重力波スペクトルにおける湯川結合定数依存性を解明する。右巻きニュートリノのゲージ相互作用に関しては、大統一理論を念頭により大きな対称性への拡張に向けた研究を始める。
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