2019 Fiscal Year Annual Research Report
Search for long-lived neutral leptons at the LHC
Publicly Offered Research
Project Area | Exploration of Particle Physics and Cosmology with Neutrinos |
Project/Area Number |
19H05109
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
織田 勧 九州大学, 理学研究院, 助教 (10613515)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | LHC / 右巻きニュートリノ / 長寿命粒子 / ニュートリノ最小標準模型 |
Outline of Annual Research Achievements |
電弱スケールより軽い質量を持つ右巻きニュートリノを標準模型に加えたニュートリノ最小標準模型は標準模型が持ついくつかの問題を同時に解決する。この模型で期待される十GeV程度の質量を持つ右巻きニュートリノをLHCのATLAS実験の陽子衝突データを用いて探索するのが本研究の目的である。本年度はATLAS実験内のこの探索の物理解析グループに加わるとともに、そこに参加する日本人研究者とサブグループを結成し、共同して解析を進めた。この解析は衝突点から離れた飛跡を用いるため、標準的でない再構成が必要である。しかし、処理時間の都合から、全事象は再構成できず、興味のある事象をフィルターで抜き出してから、再構成する必要がある。これまではミューオンに結合する右巻きニュートリノ候補に限って抜き出していたが、電子や、電子とミューオンの両方に結合する場合も抜き出せるように、フィルターを変更した。タウレプトンに結合する場合も興味深いと理論家らに指摘されたが、ATLAS実験のハドロニックタウトリガーの性能の点から、ハドロニックタウを用いることは難しいことがわかった。しかし、レプトニックタウは電子やミューオンと結合する場合を利用して、間接的に制限をかけられることもわかった。のこの変更したフィルターを用いて、2015年から2018年に取得したデータの再構成を行った。この解析で問題になるのは背景事象であり、その評価方法として、同符号事象を用いる方法や検出効率などをパラメータ化して求める方法を提案した。どの手法を用いるかは現在議論中である。また、右巻きニュートリノがセミレプトニック崩壊する場合も興味深く、研究を進めた。レプトニック崩壊や背景事象と区別するのに、機械学習を適用できることがわかった。消失横運動量よりW粒子からのプロンプトレプトンを用いて不変質量を再構成し、背景事象の棄却が用いた方が良いこともわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究実施計画で予定したことの多くをATLAS実験内の解析グループのメンバーと協力して、遂行するかとができたため。そのうち、事象を抜き出すためのフィルターの変更と検証、同符号事象を用いた背景事象の評価、検出効率などをパラメータ化した背景事象の評価、機械学習を用いたセミレプトニック事象とレプトニック事象の分離は研究代表者が率先して行ったものである。
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Strategy for Future Research Activity |
解析グループとしては2020年中に解析を完了し、学術論文を投稿、出版することが目標である。背景事象数の評価方法を決定し、求まった背景事象数と信号事象の再構成効率を元に、物理感度が最大になるように再構成時のカットパラメーターを最適化する。再度、全データから背景事象数を評価し直し、シミュレーションで信号事象の再構成効率を求める。最後に、全データでの信号領域の事象数を求め、発見の統計的有意性もしくは棄却領域を評価し、学術論文にまとめ、国際会議で発表する。
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Research Products
(6 results)