2019 Fiscal Year Annual Research Report
Verification of the hypothesis that stress concentrates on the wrinkles of polymeric nanowrinkle films and kink strengthening occurs
Publicly Offered Research
Project Area | Materials science on mille-feullie structure -Developement of next-generation structural materials guided by a new strengthen principle- |
Project/Area Number |
19H05124
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
瀧 健太郎 金沢大学, 機械工学系, 教授 (70402964)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 紫外線硬化樹脂 / ナノリンクル / キンク強化 / 架橋ネットワーク構造 / シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
水面上に展開された紫外線硬化樹脂に紫外線を照射すると硬化収縮により水平方向に収縮する。この収縮の際に,空気に接している界面と水中に添加された重合禁止剤の影響で,重合物の界面には未硬化層が生成し,硬化層と未硬化層の硬化収縮率のちがいによりしわ(リンクル)が生ずる。 しわができる際に,分子スケールでは,架橋ネットワーク構造にひずみが生じそれが緩和することなく,架橋が進行するため,ひずみが蓄積され硬化物が強くなるのではないかと考えた。そこでリンクルサイズの影響を調べるためにサイズの異なるリンクルを紫外線の照度や膜厚を変えて作製し,その表面をナノインデンターで押し込むことにより,表面弾性率を測定した。リンクルの大きさは,2,3,6ミクロンの3水準を作り分けることができた。表面弾性率とリンクルサイズをまとめたところ,リンクルのしわのサイズが小さくなるほど表面弾性率は増加することが明らかになった。 現在のところリンクルサイズは,1ミクロン程度であり,より,小さなサイズを作ることでさらなる強化が見込まれると考えている。また,架橋ネットワーク構造のコンピュータシミュレーションによる物性予測プログラムを開発しており,これを使うことで開始剤濃度とネットワーク構造の関係について,開始剤を増やしていくと弾性率は増加していき,さらに増やしていくと低下することが明らかになった。今後はこのシミュレーションプログラムを使用して,リンクル形成により架橋ネットワーク構造に蓄積されたひずみがリンクルフィルムの強化につながることを研究していく予定である。また,並行して,紫外線光源としてこれまでは高圧水銀ランプを使用してきたが,これにバンドパスフィルタを差し込み,分散の少ない光を照射することで,より細かなリンクルを作製しその弾性率を測定する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ナノリンクルの作製についてはおおむね順調に推移している。
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Strategy for Future Research Activity |
単波長の紫外線を照射することでリンクルサイズが小さくなることが予備実験により明らかになっているので,高圧水銀ランプにバンドパスフィルタを取り付けて,単波長として,よりサイズの小さなリンクルを作製し,ナノインデンターにより表面弾性率を測定し,リンクルサイズを小さくすることでどこまで弾性率を大きくすることができるか,明らかにする。
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