2019 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of Phonon Properties of Mille-feullie Structure by First-principles Calculations
Publicly Offered Research
Project Area | Materials science on mille-feullie structure -Developement of next-generation structural materials guided by a new strengthen principle- |
Project/Area Number |
19H05125
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
松中 大介 信州大学, 学術研究院工学系, 准教授 (60403151)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | LPSO構造 / フォノン / 第一原理計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
原子同士が強く結合した硬質層と比較的弱く結合した軟質層との積層構造であるミルフィーユ構造はフォノンに対して強い異方性を持つと考えられる.特に代表的なミルフィーユ構造であるシンクロ型長周期積層秩序(LPSO)構造マグネシウム(Mg)合金では硬質相が原子量の大きい溶質原子がクラスターとして濃化しており,弾性定数だけでなく密度に関してもc軸方向の周期的分布を持つ.ミルフィーユ構造に固有のフォノン状態を解明することはミルフィーユ構造に対する理解を大きく深化させると期待される.本研究では,LPSO構造Mg合金を対象として,第一原理計算を用いた高精度な解析からフォノン状態を明らかにする.2019年度は,完全な10H周期LPSO構造Mg-Al-Gd合金に対して,1千原子を超える計算モデルを用いて第一原理計算に基づくフォノン解析に成功した.この結果から,LPSO構造Mg合金では純Mgに比べて低エネルギーでのフォノン状態密度が増加することを明らかにした.また,LPSO構造における溶質濃化層の質量変化の寄与に着目して,純Mgのダイナミカルマトリックスを用いることで原子間結合の影響を除き,LPSO構造の周期的な質量変化のみを考慮した擬似的なLPSO構造モデルを考えてフォノン解析を実施した.この結果から,簡易なモデル解析による先行研究と一致して,質量変化に由来する相互作用がフォノンのエネルギーの低下をもたらし,LPSO周期に整合したモードが分裂することを明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大きな計算モデルを必要とするLPSO構造に対して,密度汎関数摂動論に基づくフォノン解析は研究室等の計算機環境のメモリを超えてしまったが,フローズンフォノン法による計算は成功し,当初予定していたLPSO構造のフォノン状態を第一原理計算に基づいて解析する計画は実施できている.
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Strategy for Future Research Activity |
メモリの追加とSSDの利用によって大規模メモリにも対応できるよう計算機環境を増強して計算を進めていく.また,大型計算機センターの利用もさらに拡大して研究の加速化を図る予定である.
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