2019 Fiscal Year Annual Research Report
In situ observation of local structure under kink formation by X-ray absorption spectroscopy
Publicly Offered Research
Project Area | Materials science on mille-feullie structure -Developement of next-generation structural materials guided by a new strengthen principle- |
Project/Area Number |
19H05130
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
西堀 麻衣子 九州大学, 総合理工学研究院, 准教授 (20462848)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | X線吸収分光 / クラスタ / 局所構造 / シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
18R-LPSO単相材(Mg85Zn6Y9)から得られたZn-K X線吸収微細構造(XAFS)スペクトルとシミュレーションスペクトルの比較から、Mg85Zn6Y9中のL12クラスタ構造解析を試みた。Zn-K XAFSスペクトルとシミュレーションスペクトルの特徴およびピーク間距離、吸収強度比を比較した結果、L12クラスタの中心にMgが存在するモデルが最も測定結果を再現することがわかった。このことは、Mg85Zn6Y9中のL12クラスタの中心にMgが存在することを強く示唆しており、スペクトルシミュレーションを併用することで、XAFS測定によりL12クラスタの中心元素の有無および元素の種類まで判別することが可能となった。 熱処理温度の異なるMg97Zn1Gd2材(773 K、673 K、573K)に対してXAFS測定を実施し、Zn-K XAFSスペクトルからL12クラスタ構造の温度変化を検討した。なお、773 Kではブロック型のLPSO相(B-type)、673 Kではプレート型のLPSO相(P-type)、573 Kでは溶質原子が積層欠陥に濃化した状態(S-type)を想定している。測定で得られたZn-K XAFSスペクトルからは、B-およびP-typeはLPSO相を形成するL12クラスタに由来することが示唆される一方で、S-typeはスペクトル形状がこれらとは異なることがわかった。このことは、熱処理によりZn周囲の局所構造が異なることを示しており、XAFS測定によって熱処理にともなうクラスタ形成過程の追跡が可能であることを示唆する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
実験は順調に進展しており、X線吸収分光法の有用性を示すデータが多く出ている。クラスタ構造解析手法を確立できたことは意義高い。一方で、コロナ禍のため年度末に予定していた成果発表を全て断念した。
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Strategy for Future Research Activity |
B-およびP-typeについて、スペクトルシミュレーションによるクラスタ構造解析を試みたところ、L12クラスタ中心に原子が存在するモデルの場合はスペクトル変調の強度比の強度比が実験結果と整合しており、少なくともL12クラスタ中心に何らかの原子が存在することを示唆する結果となった。一方で、この系においては、現状の測定結果から中心元素の種類を特定することが困難であり、よりエネルギー分解能の高い計測を実施する必要がある。 X線吸収分光法はクラスタの微細な構造変化を捉える有用な手段であることが示されたことから、キンク形成・強化のメカニズムをX線吸収分光法により観察した局所構造変化から議論することを試みる。
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Research Products
(2 results)