2019 Fiscal Year Annual Research Report
Synthesis of mille-feuille structure and improvement of fracture toughness in ceramics
Publicly Offered Research
Project Area | Materials science on mille-feullie structure -Developement of next-generation structural materials guided by a new strengthen principle- |
Project/Area Number |
19H05137
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉田 英弘 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (80313021)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | セラミック / ミルフィーユ構造 / キンク / 塑性変形 / 通電焼結 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度には、セラミックスの通電支援焼結法とその関連技術を利用して、酸化物セラミックス複合材料におけるミルフィーユ構造を創製するための技術的検討を行った。その結果、通電焼結技術および応力印加による効率的な物質輸送促進により、共晶組織を材料の融点よりも500℃以上低温でも実現することを見出した。これは従来とは大きく異なる材料創製手法であり、本研究の一つの成果である。実際、この技術を用いることで、Al2O3-MgAl2O4-ZrO2系コンポジットやAl2O3-Gd2O3-ZrO2系コンポジットにおいて、複数の相が100nmオーダーの間隔で一方向に配向した複合セラミックスの製造に成功した。さらに、A02公募班・増田紘士博士との共同研究により、製造した異方性配向組織をFIBを用いてナノピラーに加工し、ナノインデンターを利用して、配向組織に対して様々な方向から圧縮機械試験を行った。その結果、殆どの試料は通常のセラミックスと同様、脆性的な変形挙動を示した一方、ある特定の方位で加工硬化を示唆する挙動が認められた。また、変形後の試料形状にも通常の脆性破壊した試料とは異なる特徴が認められ、極めて興味深い力学応答を示すことが示唆された。 本年度は、引き続き異方性層状構造の創製に適した物質の探索と材料創製を進めると共に、製造した試料のナノピラー加工とナノインデンテーションを利用した機械試験の実施し、組織と変形挙動の関係を引き続き調査する。さらに上記加工硬化した試料を中心に、さらに変形をさせたときのキンクの導入の有無を検証する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度には酸化物セラミックス複合材料におけるミルフィーユ構造を創製するための技術的試行を経て、実際にAl2O3-MgAl2O4-ZrO2系コンポジットやAl2O3-Gd2O3-ZrO2系コンポジットにおいて複数の相が配向した複合セラミックスの製造に成功した。さらにナノピラーに加工して圧縮機械試験を行った結果、特定の方位で加工硬化を示唆する挙動が認められるなど、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は前年度に引き続き、異方性層状構造の創製に適した物質の探索と材料創製を進めると共に、前年度に製造した異方性複合試料のナノピラー加工とナノインデンテーションを利用した機械試験の実施し、組織と変形挙動の関係を引き続き調査する。特に、変形後の試料組織、また応力-ひずみ関係から、ミルフィーユ構造と特異な力学応答について調査を進める。さらに、上記の加工硬化した試料を中心に、さらに変形をさせたときのキンクの導入の有無をSEMやTEMを用いて検証し、キンク導入領域の機械特性計測を試みることで、セラミックスにおけるキンク強化機構の可能性を検討する。
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