2019 Fiscal Year Annual Research Report
Numerical study of the endpoint of first order phase transition lines in finite density lattice QCD
Publicly Offered Research
Project Area | Clustering as a window on the hierarchical structure of quantum systems |
Project/Area Number |
19H05146
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
江尻 信司 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (10401176)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 素粒子論 / 計算物理 |
Outline of Annual Research Achievements |
ハドロン相からクォーク・グル-オン相に変化するQCDの有限温度相転移は、低密度では熱力学的特異性を持たないクロスオーバーで、ある臨界密度から一次相転移に変わると予想されている。その高密度での相転移の性質の変化を、熱浴中での粒子密度の出現確率を表す確率分布関数に注目することにより研究している。粒子密度の確率分布関数は、大分配関数から、粒子数を固定してカノニカル分配関数を構築することによって得られる。しかし、格子QCDの有限温度相転移を理解するうえで重要なZ(3)センター対称性が、有限格子で厳密に保たれている場合、粒子数が3の倍数の場合を除き、確率分布関数は必ずゼロとなる。U(1)ゲージ理論の場合、この問題はより極端で、センター対称性により電荷がある状態は存在できなくなる。本研究では、その問題に対する解決策を議論した。同時に、有限密度格子ゲージ理論における重要問題である符号問題の、センター対称性による回避方法を提案した。この問題は、有限体積で計算する場合、センター対称性を壊さない限り、閉じ込めのオーダーパラメター:ポリヤコフ・ループの期待値が常にゼロになる問題と、本質的に同じである。極端な例であるU(1)格子ゲージ理論において、フェルミオン質量が重い場合、実際に数値シミュレーションを行い、本研究で提案した方法により有限密度での計算が可能であることを例示した。さらに、この方法のQCDへの適用について議論した。 また、最近注目されているグラディエント・フローという方法を用いた熱力学量の計算も行った。特に、SU(3)ゲージ理論の一次相転移点における潜熱について詳しく調べ、従来の方法と比較した。格子が粗い場合の結果は一致し、同じ計算コストでより細かい格子での精度の良い結果が得られることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
有限密度での相転移の性質を調べるために必要な、粒子密度の確率分布関数の計算方法の開発を行った。それとともに、ゼロ密度でクォークが重い領域の一次相転移がクロスオーバーに変わる臨界クォーク質量の研究や、熱力学量の計算に劇的な進展をもたらす可能性がある、グラディエント・フロー法により熱力学量を相転移点付近で計算する研究を行った。研究自体は順調に進んでいるが、2020年3月以降、新型コロナウイルスの感染が世界的に広がったため、国内外の学会・研究会がほとんど中止になった。そのため、口頭での研究発表はオンライン研究会でしかできていない。
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Strategy for Future Research Activity |
研究自体は順調で、いくつかの研究成果が得られたが、2020年3月以降、研究会がほとんど中止になったため、研究発表は国内のオンライン研究会でしかできていない。さらに、新型コロナウィルス感染拡大防止のために、オンラインによる新しい形式の授業を模索することとなった。その立ち上げのために教務が忙しく、論文書きも遅れている。今後は論文を完成させ、国際研究会で研究発表を行う予定である。
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