2019 Fiscal Year Annual Research Report
Search for new hadronic state via its radiative decay to pseudo-scalar charmonium
Publicly Offered Research
Project Area | Clustering as a window on the hierarchical structure of quantum systems |
Project/Area Number |
19H05154
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
宮林 謙吉 奈良女子大学, 自然科学系, 教授 (40273833)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ハドロン物理 / チャーモニウム / 輻射崩壊 |
Outline of Annual Research Achievements |
チャームクォーク・反チャームクォークを構成子として含むチャーモニウムまたはそれに似たハドロンのうち、スピンが1、P変換(空間反転)の固有値が正、C変換(荷電共役変換)の固有値が負である状態は、エキゾチックハドロンの一種であるX(3872)粒子のC=-1パートナー状態である可能性があり、その状態はηcメソンとγ(光子)へ輻射崩壊するモードにより再構成することが有効と考えられる。Belle実験のデータ解析ソフトウエアを用いて、Bメソンがηcメソン・γ・Kメソン・πメソンへ4体崩壊し、ηcメソンをKSメソン・Kメソン・πメソンへの3体崩壊した事象を再構成するプログラムを作成した。ベンチマークとして、Bメソンがhcメソン・Kメソン・πメソンへ3体崩壊し、hcメソンがηcメソンとγに輻射崩壊する事象のシミュレーションデータを生成し、この崩壊過程を再構成する検出効率が約4%であること、ηcメソン・γの不変質量分解能が約16 MeVであることを確かめた。試験的に少量のBelle実験データを解析した結果、大幅なバックグラウンド低減の工夫を講じる必要が判明した。 そこで、ηcメソンを陽子・反陽子への崩壊モードで再構成し、誤った終状態の粒子の組み合わせによるバックグラウンドの低減を図ることにした。信号事象のシミュレーションデータを生成し、事象を再構成する検出効率を確認したところ約25%であることがわかった。このモードでのηcメソン・γの不変質量分解能は約13 MeVである。 以上のように、本研究のデータ解析手法の全体像となる方針を描き出すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
【研究実績の概要】で記載したように、1年目の研究によりデータ解析手法の全体像となる方針を描き出すことができた。2年目にバックグラウンドを低減する工夫を本格的に盛り込む予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
Belle実験の後継実験であるBelle II実験では、多変量解析(Multivariate Analysis, MVA)、機械学習(Machine Learning)など、様々な最新のアルゴリズムを導入したデータ解析ソフトウエアツールの開発が進行している。また、Belle実験のデータをBelle II実験のソフトウエア環境により読んで解析できるようにデータフォーマットの変換を行うb2biiソフトウエアが広範に利用可能になってきている。こうした状況を活用して、解析プログラムに信号事象とバッググラウンドの分離を図る多変量解析(Multi Variate Analysis)を導入し、その有効性をBelle実験のデータを解析して示すとともに、本研究期間後にBelle II実験がさらに高統計のデータを蓄積した時点での展開に備える。
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