2019 Fiscal Year Annual Research Report
Hadronic Matter formed by Colored Clusters
Publicly Offered Research
Project Area | Clustering as a window on the hierarchical structure of quantum systems |
Project/Area Number |
19H05159
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
岡 眞 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 先端基礎研究センター, センター長 (60144606)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ダイクォーク / ハドロン / 軸性U(1)アノーマリー / カイラル対称性 |
Outline of Annual Research Achievements |
R1年度は、スカラーとベクターのダイクォークに焦点を当てた。スカラーと擬スカラーのダイクォーク有効理論では、SU(3)のカイラル対称性とともに、U_A(1)対称性の破れ(アノーマリー)が現れて、大きな寄与を与えることがわかった。特に、具体的なパラメータの評価を行うことで、擬スカラーダイクォークの質量スペクトルにU_A(1)アノーマリーの特徴が顕著となることを示した。 スカラーダイクォークのカイラル有効理論は、SU(3)_RxSU(3)_Lに基づくダイクォーク演算子の分類から、フレーバー3bar表現の0^+と0^-のダイクォークが組となるカイラル表現に基づくことがわかった。それらは、RRとLLのカイラルクォークの組み合わせからなり、カイラル対称性を破らない質量を与える項が許される。この項では、0^+と0^-ダイクォークは縮退するが、カイラル対称性の自発的破れに基づく質量項の導入で質量差が生じる。後者の質量項にはさらにU_A(1)対称性を破る項と破らない項が存在し、それぞれが正負パリティの質量差を与える。さらに、SU(3)対称性がsクォークとu,dクォークの質量差から生じるが、その現れ方が正パリティと負パリティで異なることが明らかになった。すなわち、sクォークを含むダイクォークの質量がsを含まないダイクォークより軽いという質量ヒエラルキーの逆転現象が起こることを示した。この逆転が今回の論文の焦点で、その結果がチャームバリオンのスペクトルにどう現れるかの研究を進めた。その結果、Lambda_cとXi_cのスペクトルで負パリティの励起状態に違いが現れる可能性を指摘した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和元年度においては、前半は計画以上に順調に研究が進捗した。その後コロナウイルスの蔓延により当初計画で予定していた出張が取り止めになったが、既に本補助事業に係る論文を作成済みだったので、メールやSkype等の活用により、出張に代わって共同研究者と意見交換を行うことができた。したがって、全体としておおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度の研究計画を進めるにあたり、国内(九州大学、名古屋大学等)、国外(中国、トルコ、オーストラリア等)の共同研究者との議論が必要だが、コロナウィルスの蔓延で互いに往来が出来なくなっている。この状態が長く続くと研究に支障を来すことが予想されるため、コロナウイルス感染拡大の状況によっては、繰越制度を活用し、補助事業の目的を達成するための方策の検討を図る。
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Research Products
(9 results)